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2021 年度 実績報告書

パンゲノム-表現型関連解析による遅発育抗酸菌のニッチ適応戦略の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H02093
配分区分補助金
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

矢野 大和  国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (20646773)

研究分担者 岩本 朋忠  神戸市健康科学研究所, その他部局等, 所長 (70416402)
西内 由紀子  広島大学, 学術・社会連携室, 特任准教授 (00333526)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードプラスミド / 非結核性抗酸菌
研究実績の概要

前回の研究課題で完全ゲノム解読を行なったM. avium臨床分離株の1つが保有していた340 Kbの巨大プラスミドの存在が、浴室ニッチと臨床(ヒトの肺)ニッチのどちらと強く関連しているのか明らかにするため、巨大プラスミドに特徴的であったtRNA遺伝子クラスター(tRNAアレー)が浴室集団 (N=69) と臨床集団 (N=109) のどちらに高頻度で発見されるかについて、これまでに得られているドラフトゲノムを対象とした配列検索によって調査した。最初に臨床株ゲノムに発見された、プラスミド支配のtRNA アレーが、臨床群と浴室群に均等に分布しているかどうか調べたとろ、均等に分布していないことが明らかになった (Fisher’s exact test, P=0.025)。tRNAアレーは浴室群により高い頻度で分布していた (Odds ratio=3.1)。巨大プラスミドを保有していることが判明している臨床分離株が微好気条件でペリクルバイオフィルムを形成することを見出した。巨大プラスミド上の遺伝子群の発現条件について手掛かりを得るため、プラスミドを保有する臨床株のペリクルバイオフィルムと、大気条件での液体培地での増殖時の細胞からのRNA抽出実験を行なった。前回の科研費課題で収集した浴室分離株(37株)の薬剤耐性表現型を解析したところ、解析したすべての薬剤について、臨床群と比較し、同程度あるいは低いMIC値を示すことが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プラスミド支配のtRNAアレーが抗酸菌の表現型に与える影響を検証するため、M. avium臨床株が保有していた巨大プラスミド上に搭載されていたtRNAクラスター (tRNAアレー)を、独自に開発したベクターにクローニングしてMycobacterium smegmatisに導入した。作成した菌株の増殖およびバイオフィルム表現型の測定をおえることはできなかった。線状プラスミドを保有していることが判明している臨床分離株がペリクルバイオフィルムを形成する条件を見出し、RNA抽出実験を行ない、受託解析機関にRNAを送付したが、データ解析までは実施できなかった。GWAS研究のため、健常者浴室からさらにM. aviumを分離する必要があるため、健常者浴室からの菌株の収集作業を継続的に行なっている。薬剤耐性表現型の解析は実施可能であったが、バイオフィルム表現型のハイスループット解析には、さらなる条件検討が必要であった。

今後の研究の推進方策

非結核性抗酸菌のプラスミドについての文献情報はほとんどみつからないため、本研究でターゲットとしている巨大プラスミドの発見は医学や環境科学分野に寄与すると想定される。浴室ニッチと関連がありそうなM. aviumのプラスミドの多様性を把握するため、ロングリードとショートリードのハイブリッドアッセンブリーを実施し、より多くの浴室分離株の完全ゲノム解読を目指す。

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公開日: 2023-12-25  

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