研究課題/領域番号 |
21H02099
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
折田 和泉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70525964)
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研究分担者 |
宮地 輝光 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40452023)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メタノール資化性菌 / ポリヒドロキシアルカン酸 |
研究実績の概要 |
メタンやメタノールといった炭素数1(C1)の化合物を炭素源にして有用物質を発酵生産するための基盤構築を目的とし、モデルC1化合物資化性細菌の分子育種を行っている。 2021年度までに取得したメタノール資化性菌Methylorubrum extorquensの高濃度メタノール耐性実験室進化株について、全ゲノムリシーケンシングを実施し、高濃度メタノール耐性に関わる遺伝子を予想した。現在、予想した遺伝子の機能解析を進めている。 また、本菌はメタノール生育時に生分解性プラスチックであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を菌体内に蓄積するが、メタノール中央代謝経路とPHA生産経路が一部重複していることが効率生産の弊害となっている。2022年度は、これまで構築した第二資化経路発現株について、メタノール生育能とPHA生産能を評価した。その結果、いくつかの組換え株では、PHA合成に関わる遺伝子を発現することで低下したメタノール生育能が回復していた。一方で、どの組換え株も蓄積PHAの量や組成に差は見られなかった。そこで、PHAモノマー組成を最適化するために、モノマー供給経路をコードする遺伝子を本菌のメタノール資化に関わる酵素遺伝子と置換した株を構築した。構築した置換株をメタノール培地で培養したところ、メタノール資化に関わる遺伝子を置換したにも関わらず、メタノール生育速度が増加した。また、PHA蓄積率が低下したものの、これまでの2倍以上の割合で第二、第三モノマーが重合した3元共重合体をメタノールから生合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタノール資化性菌の育種に関して、前年度までに取得していた高濃度メタノール耐性株のゲノムDNAリシーケンス解析を実施し、高濃度メタノール耐性に関わる遺伝子を予想することができた。また、代謝改変株を多数取得し、メタノール生育特性やポリヒドロキシアルカン酸合成能を評価できた。これらは、次年度以降の研究に発展させられる結果であることから順調に進展しているといえる。 一方で、メタン資化性菌の育種では、計画していたrpoD変異ライブラリーの取得を試みたが、エラープローンPCRの条件を整えることができなかった。早急に条件を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
高濃度メタノール耐性株の全ゲノムリシーケンス解析結果から高濃度メタノール耐性への関与を予想した遺伝子についての機能解析を行うとともに、当該遺伝子の破壊株、相補株を作製し、高濃度メタノール培地での生育能を評価する。引き続き、代替資化経路の構築やポリヒドロキシアルカン酸(PHA)合成のための代謝改変を継続するとともに、PHA合成に関わる遺伝子を転写スイッチの利用により発現制御することで、メタノール生育期とPHA合成期の分離させる。 メタン資化性菌の育種に関しては、rpoD変異ライブラリーを構築し、メタンやメタノール生育能が向上した菌株のスクリーニングを実施する。
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