研究課題/領域番号 |
21H02119
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
黒木 勝久 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20647036)
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研究分担者 |
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 教授 (80508549)
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 硫酸化 / NAPQI / SULT / 発現定量 |
研究実績の概要 |
a,b-不飽和カルボニル化合物の硫酸化を介した酸化ストレス防御機構とその生理的意義の解明を目的とし、本年度は、「硫酸化を受けるa,b-不飽和カルボニル化合物の探索」と「酸化ストレスによるSULTの発現変動」を実施した。 ①硫酸化を受ける新たなa,b-不飽和カルボニル化合物の探索と代謝解析 カテコールキノンの1つであるアドレノクロム、アセトアミノフェン酸化代謝物であるN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン (NAPQI)、そして、ビタミンB3酸化代謝物であるN-メチル-2-ピリジン-5-カルボキサミドの酵素的な硫酸化を確認した。特に、NAPQIに関して、詳細に検討した結果、6つのSULT酵素が活性を示し、その中でもエストロゲン硫酸転移酵素SULT1E1が最も活性が強く、アセトアミノフェンと比較しても、NAPQIを好んで認識することも分かり、SULT1E1による酸化代謝物の解毒代謝機能が明らかとなった。 ②酸化と親電子ストレスによるSULTの発現変動解析 計14種類のSULTのリアルタイムPCRによる定量解析をヒトHepG2細胞およびマウス小腸を用いて行うため、probeの準備と定量解析の条件検討を検討し、SULT遺伝子定量解析の準備を整えた。タンパク質発現は定量質量分析法(MRM: Multiple Reaction Monitoring)にて、15種類のSULTの発現変動を解析するために必要な内部標準ペプチドを設計し、その解析条件(トランジッションなど)を検討した。その後、HepG2、SH-SY5Y、MCF-7を用いた発現変動解析の結果、SULT1からSULT2の10種類の定量解析を行った。更に、HepG2細胞を用いた異物応答の核内受容体刺激(Phenobarbital)実験では、SULT1A2が3倍程度の発現が上昇され、様々な細胞での発現変動解析の基盤を確立することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①硫酸化を受ける新たなa,b-不飽和カルボニル化合物の探索と代謝解析 アドレノクロム、NAPQI、そして、N-メチル-2-ピリジン-5-カルボキサミドの3種類の酸化代謝物であるa,b-不飽和カルボニル化合物の酵素的な硫酸化を確認した。特に、NAPQIに関して、その親化合物であるアセトアミノフェンに対する酵素活性解析の結果、特異的な触媒酵素SULT1E1を見出すことが出来た。この硫酸化代謝物はHPLCおよび質量分析計でも確認でき、現在、m/zからの構造解析を進めているところである。当初予定の他のa,b-不飽和カルボニル化合物に対しても現在、硫酸化活性解析を進めているところであり、この項目は少し遅れていると判断した。 ②酸化と親電子ストレスによるSULTの発現変動解析 リアルタイムPCRによる定量解析では、既に、最適なprobeを見出すことが出来ており、ヒト細胞とマウス臓器からの発現解析の実験方法を確立することが出来た。タンパク質発現は定量質量分析法(MRM: Multiple Reaction Monitoring)にて、15種類のSULTの発現変動を解析するために必要な内部標準ペプチドを設計し、その解析条件(トランジッションなど)を詳細に検討し、確立することが出来た。ヒトの3種類の細胞を用いてMRMによる発現定量解析を行い、十分にその発現変動を解析できることを、8種類の核内受容体刺激薬を用いた実験で、明らかにすることが出来たことから、本項目では当初の予定よりも少し進んでいると判断した。 以上の①と②の研究項目の進捗状況・達成度合いを総合すると、おおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
a,b-不飽和カルボニル化合物の硫酸化を介した酸化ストレス防御機構とその生理的意義の解明を目的とし、本年度は、昨年度に引き続き、「硫酸化を受けるa,b;-不飽和カルボニル化合物の探索とその硫酸化代謝解析」と「酸化ストレスによるSULTの発現変動」を実施する。 ①硫酸化を受ける新たなa,b-不飽和カルボニル化合物の探索と代謝解析 アドレノクロム、NAPQI、そして、N-メチル-2-ピリジン-5-カルボキサミドの酵素的な硫酸化を詳細に検討するとともに、構造解析を進める。さらに、細胞や臓器を用いた代謝解析を行い、硫酸化代謝とそれによる酸化ストレス防御能に関しても解析を進める。それと同時に、カテコールアミンキノン、セロトニン酸化代謝物 (トリプトアミン-3,4-ジオン)、エストロゲンキノン、ポリフェノールキノン代謝物の酵素的硫酸化反応と硫酸化代謝も解析する。 ②酸化と親電子ストレスによるSULTの発現変動解析 過酸化水素添加による酸化ストレスおよびa,b-不飽和カルボニル化合物添加による親電子ストレス下での培養細胞におけるSULTの発現解析をmRNAおよびタンパク質レベルで評価する。mRNA発現はTaqMan法によるリアルタイムPCR、タンパク質発現は三連四重極型質量分析計を用いた定量質量分析法(MRM: Multiple Reaction Monitoring)にて、15種類のヒトSULTの発現変動を解析する。
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