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2022 年度 実績報告書

アフリカのイネジーンプールに潜在する有用遺伝子の計画的利用に向けた種間雑種戦略

研究課題

研究課題/領域番号 21H02160
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

小出 陽平  北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70712008)

研究分担者 山形 悦透  九州大学, 農学研究院, 准教授 (00600446)
石川 亮  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70467687)
藤田 大輔  佐賀大学, 農学部, 准教授 (80721274)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードイネ / アフリカイネ
研究実績の概要

将来の食糧安定生産のため、利用可能な遺伝子プールを拡大することは、育種学の使命の一つである。アフリカ栽培・野生イネは、膨大な遺伝変異を有するが、有用遺伝子探索がほとんど行われていない未利用遺伝資源である。本研究では、ゲノム情報を利用した効率的な遺伝子探索システムをアフリカイネに適用し、初期生育や耐虫性などの有用形質に関わる遺伝子の迅速な単離を行う。また、雑種不稔性を回避する種間橋渡し系統を確立し、異種遺伝子の利用を促進するとともに、未解明である種間雑種強勢の遺伝基盤を明らかにし、種間雑種の新しい活用法を構築する。
これまでに、主に、独自のアフリカ栽培イネ集団をもちいたゲノム解析を行い、データを参照配列である日本晴にマッピングした際に得られるSNP情報に基づくゲノムワイド関連解析実験系を構築した。この実験系を用いることで様々な形質に関してゲノムワイド関連解析を行うことが可能となった。さらに、SNP情報より、アフリカ栽培イネを複数の分集団に区分し、各分集団ごとの系統の特徴化を進めた。また、アフリカ栽培イネが持つ遺伝子の単離を迅速に行うために、分集団ごとに系統を選抜し、これら系統の交配による組換え自殖系統群作出を行った。当該年度においては、F3世代まで世代促進を進めた。さらに、アフリカイネが持つ初期生育性や耐虫性など、特徴的な表現型の予備的解析を行った。その結果、初期生育の旺盛さに関与すると考えられる第2葉と第3葉の葉身長にアフリカ栽培イネ内で表現型多型があることが示された。ゲノムワイド関連解析を行ったところ、第2葉葉身長および第3葉葉身長と有意に関連のある染色体領域が明らかとなった。また、複数の種間雑種不稔遺伝子について、遺伝子同定に向けた準備を行うとともに、ゲノム編集による遺伝子ノックアウトの実験系の構築を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アフリカの栽培イネOryza glaberrima約150系統の独自のコレクションに着目し、それぞれの系統の全ゲノム解析、SNPの抽出、SNP多型に基づくクラスタリングと分集団情報の構築を行った。得られた情報を用いてゲノムワイド関連解析を適用可能なデータセットを構築した。いくつかの分集団から代表的な系統を選抜し、これらを交配することで、分集団間の表現型の違いを遺伝的に解析できる実験系の構築を進めた。
アフリカ栽培イネが持つ特徴的な形質である、初期生育性、耐虫性、脱粒性についてデータの取得を進めた。得られたデータを用いてゲノムワイド関連解析を行い、初期生育性と有意に関連のある染色体領域を検出することに成功した。種間雑種不稔遺伝子S1の種子稔性に関わる遺伝領域の絞り込みと、S13の遺伝解析を行った。
新型コロナ関連の制限のため、一部実験の延期をしたものの、予定していた計画は2023年度末までに終了することができ、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

構築したゲノムワイド関連解析の実験系を用いて、アフリカ栽培イネを特徴づける種々の形質について遺伝子座の検出を行う。特にストレス耐性に関係する形質(低温抵抗性・乾燥耐性)の遺伝子座を明らかにする。初期生育性に関しては、ハプロタイプの分類を進め、表現型の違いの原因となるSNPを特定する。また、分集団間の交雑集団の育成を進め、ゲノムワイド関連解析で検出した遺伝子座を即座に遺伝解析に持ち込む系を構築する。
種間雑種不稔遺伝子に関しては、遺伝子の同定とゲノム編集によるノックアウト個体の作出を進め、種間橋渡し系統を作出する準備を行う。

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公開日: 2024-12-25  

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