研究課題/領域番号 |
21H02205
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 和也 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00648280)
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研究分担者 |
宮国 泰史 琉球大学, グローバル教育支援機構, 特命講師 (00869290)
村上 貴弘 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (40374706)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シロアリ / 性決定 / 性染色体 / ゲノム / 進化 |
研究実績の概要 |
性決定は、動物の発生初期にその個体の発生運命を決定づける重要な分化プロセスである。本研究では、スギオシロアリにおいてオス特異的なマイクロサテライトアリルおよび当該遺伝子座と連鎖している機能遺伝子であるSymを性決定遺伝子の候補遺伝子として、これらの地理的変異に着目し、本種の性決定遺伝子特定と性決定メカニズムの進化史解明を目指している。今年度は琉球列島の沖縄本島、石垣島、与那国島で性比の地域変異を発生段階ごとに調べ、既存の性比理論で性比の偏りが説明できないか検討し、いずれの島でもPseudergateで最も性比がオスに偏っていることを明らかとし、既存の理論ではうまく説明できないことが示唆された(Miyaguni et al. 2021)。また地域間差が示唆されたため、離島間の交雑実験を行い、オス特異的アイルが沖縄本島のオス由来である場合に子供により遺伝しやすいことを示唆する結果が得られた。データを追加し論文として投稿予定である。 引き続き当該遺伝子および近傍の機能遺伝子Symの地域変異とその雌雄差を探索するため、機能遺伝子配列にプライマーを設計し、PCRと配列決定を進めている。 染色体観察による性染色体推定も並行して進めており、スギオシロアリの性染色体の探索、および遺伝子マーカーのFISHマッピングが可能か検討を進め、スギオシロアリの雌雄の染色体標本上にテロメアおよび18S rRNA遺伝子プローブを用いたFISH解析を行い、それぞれの遺伝子の蛍光シグナルを検出することに成功した。また基本的な核型解析としてC-band分染を行い、オスのY染色体がヘテロクロマチン化していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたよりも地域変異が大きく、オス特異的マイクロサテライトアリル周辺の機能遺伝子配列の特定のためPCRプライマーの設計に手間取っており、解析が遅れている。 また、染色体観察に適した発生段階の特定とその段階の十分なサンプル数の確保に手間取ったため、実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
既に概ね結果が揃っている交雑実験の結果をサンプル数をそろえて論文化し、登校を進める。同時にスギオシロアリのオス特異的マイクロサテライトアリル周辺の機能遺伝子配列の特定のため、PCRプライマーの開発を進めて遺伝子配列の特定および雌雄差の調査、琉球列島内における候補遺伝子の塩基配列の地理的変異の解明を目指す。 また、染色体観察についても必要なサンプルを確保し、データをそろえて論文化を目指す。
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