研究課題/領域番号 |
21H02288
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
柴崎 康宏 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30750674)
|
研究分担者 |
瀧澤 文雄 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60822913)
間野 伸宏 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10339286)
難波 亜紀 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (20445737)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 抗体 / リンパ節 / 胚中心 |
研究実績の概要 |
魚類養殖における感染症制御には水産ワクチンの利用が重要である。水産用ワクチンとして用いられる不活化ワクチンは、接種されたワクチン抗原に対する特異的抗体の産生が感染防御の要と考えられる。しかし魚類では、ワクチン接種で感染防御に十分な抗体価が得られないことがあり、問題となっている。哺乳類における特異的抗体の産生誘導反応では、リンパ節などに形成される胚中心構造において、クラススイッチや親和性成熟が起こり、高親和性の抗体(感染防御能の強い抗体)が産生されることが知られている。一方、魚類はリンパ節を持たず、胚中心も形成されないとされ、抗体産生機序が未発達であり、ワクチンの効果が十分でないと考えられてきた。また、それゆえ「どこで」「どのように」免疫応答が誘導されるのか不明であった。 魚類はIgM、IgT、IgDと三種類の抗体を持つことが知られている。近年、申請者らは、魚類では感染やワクチン接種時に初めて、脾臓においてIgM抗体を産生する免疫クラスターが形成されることを発見した。本研究は、これまでの成果に基づき、魚類のIgM抗体を産生する免疫クラスターの形成機序および特異的IgM抗体の産生誘導機序の解明を目指すとともに、IgT抗体についても同様に産生組織の同定や産生機序を解明することを目指している。 研究初年度となる本年は、脾臓欠損モデル魚を作出に取り組み、脾臓欠損が抗体産生量に及ぼす影響を調べた。脾臓欠損モデル魚および対照魚に免疫を行った結果、抗原特異的IgM抗体の産生量および産生動態に大きな変化があった。このことから、これまでに申請者らが発見した脾臓に形成される免疫クラスターが特異的IgM抗体産生に重要な役割を担うことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
魚類における特異的抗体の産生部位における重要性な情報を得ることができた。コロナウイルスの影響により、IgTの産生組織を同定するための長期にわたる経時的サンプリングが完遂できなかったた。この試験については、翌年度に再度試みる。
|
今後の研究の推進方策 |
IgT抗体産生の過程を調べるため、免疫刺激後の細胞の動態を組織学的・細胞生物学的手法により解析する。産生部位が特定できた場合には、その組織構造について、IgM抗体の産生機序を解析した手法と同様のアプローチで解析していく予定である。 脾臓におけるIgMの抗体産生機序については、経時的な解析を進め、免疫クラスター形成の様式を調べる。
|