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2023 年度 実績報告書

ダイズの放射性セシウム吸収に関する包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21H02325
配分区分補助金
研究機関福島大学

研究代表者

二瓶 直登  福島大学, 食農学類, 教授 (50504065)

研究分担者 高橋 秀和  福島大学, 食農学類, 教授 (00325937)
市橋 泰範  国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, チームリーダー (20723810)
濱本 昌一郎  北海道大学, 農学研究院, 教授 (30581946)
辰野 宇大  福島大学, 環境放射能研究所, 研究員 (40898003)
小林 奈通子  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
岡野 夕香里  福島大学, 食農学類, 准教授 (90734872)
中田 隆  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 研究員 (90882548)
高木 恭子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 上級研究員 (40707634)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード放射性セシウム / ダイズ / 東京電力福島第一原子力発現所事故
研究実績の概要

(ア)福島県内で日本、世界のコアコレクション、および福島大学が独自に集めた品種系統を含めた337品種を用いた2年分の栽培結果を元に、葉の133Cs濃度、子実の133Cs濃度、および葉/子実比の比を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)により、吸収および転流に関するQTL、候補遺伝子の同定を試みた。また、葉、子実の他元素も測定し、Csと関連する元素のネットワーク解析を行った。
(イ)HAK5のアミノ酸配列をターゲットとしたノックダウン個体(KD)と対象個体(WT)を、異なるK濃度(低Kと高K)の水耕液で栽培後、137Cs+と42K+を含む溶液に浸漬した。HAK5の発現は、低Kで栽培したWTでは高 Kに比べて増加したが、KDでは増加しなかった。137Cs+ 吸収量は、WTでは高Kに比べ低Kで増加したが、KDでは栽培時のK濃度によらず低い吸収量であった。地上部の137Cs+ 吸収も根と同様の傾向で、低Kで栽培したKDではWTのようにCs吸収の増加はみられなかった。42K+ の吸収は137Cs+ と同様に、WTでは低K で吸収量が増加したが、KDでは低K、高Kとも低かった。。以上より、ダイズのHAK5がCs吸収に関与する候補とした。
(ウ)KDの子実のCs濃度を評価するため、0.1mM K+溶液に133Csを0.1mM添加してWT、KDを栽培した。子実の133Cs+ 濃度は、WTに比べKDでおよそ60%低下した。子実以外の他部位のCs濃度も子実と同様の結果であった。
(エ)異なるK+濃度(0, 0.01, 0.1, 1, 3mM)で栽培したダイズのHAK5の遺伝子発現を確認したところ、0.1mM以下で栽培すると発現量が大幅に高まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

福島県内でダイズのコアコレクション(337品種)の2年分の解析を行い、2年を通した開花期の葉、子実の133Cs濃度を測定しゲノムワイド関連解析により、p値が高い(7.5以 上)ローカスがいくつか検出している。 さらに、HAK5ノックダウン個体を用いた実験により、HAK5がCs吸収に関与する候補とした。以上より、Cs吸収に関する遺伝的、栽培環境的主要な因子を特定し、安全なダイズ栽培に基づく農業復興に寄与するために当初予定していた計画は概ね順調に進 んでいる。

今後の研究の推進方策

HAK5をターゲットとした欠損個体を用いて、低K濃度環境でのCs 吸収量を検討する。 また、ダイズコアコレクションを対象に、遺伝子型から低K環境下でCsを吸収しやすい系統を選抜し、実証試験を行う。
土壌の多様な成分や微生物、物理性を含めた栽培環境がダイズのCs吸収能に与える影響を明らかにするため、ダイズ、土壌、微生物のデータを包括的に取得してマルチオミクス解析を駆使し、ダイズのRCs濃度に関するシステムレベルでの制御モジュールの構成要素を抽出する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 農業デジタルツインによるGX2024

    • 著者名/発表者名
      藤原風輝、二瓶直登、市橋泰範
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 8 ページ: 22-28

  • [雑誌論文] 農業現場でのマルチオミクス解析と農業生態系のデジタル化2023

    • 著者名/発表者名
      二瓶直登・市橋泰範
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 61 ページ: 324-330

  • [雑誌論文] マルチオミクス解析による農業生態系のデジタル化2023

    • 著者名/発表者名
      二瓶直登・市橋泰範
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学会誌

      巻: 94 ページ: 412-418

  • [学会発表] ダイズのイオノームに関するGWAS解析2023

    • 著者名/発表者名
      二瓶直登, 菅波眞央, 佐藤郁恵, 高橋秀和, 松田幹,松岡信
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会講演会
  • [図書] 豆類の百科事典 セシウム2023

    • 著者名/発表者名
      二瓶直登
    • 総ページ数
      528
    • 出版者
      朝倉書店
  • [図書] 新植物栄養。肥料学 福島原発事故による放射能汚染から食生産の復興2023

    • 著者名/発表者名
      二瓶直登
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      朝倉書店

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公開日: 2024-12-25  

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