研究課題/領域番号 |
21H02351
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 淳平 北海道大学, 獣医学研究院, 特任准教授 (20732902)
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研究分担者 |
木之下 怜平 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (30761150)
松本 悠貴 アニコム先進医療研究所株式会社(研究開発課), 研究開発課, 研究員 (40831384)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / 癌 / ゲノム |
研究実績の概要 |
イヌ悪性黒色腫に特異的なDNAメチル化変化部位6カ所を選別、バイサルファイトシークエンス用のPCRアッセイを構築した。血漿中セルフリーDNAからのDNAメチル化検出が可能がどうか検討を行うため、イヌ悪性黒色腫症例の保存血漿よりセルフリーDNAを抽出後、PCRを行い期待通りの増幅産物を確認した。本PCR産物を次世代シークエンスによる解析に進めるため、異なる症例および異なる日付ごとにバーコードプライマーを用いてライブラリ作製を行った。その後、次世代シークエンスによって得られたfastqファイルについてTrim-galoreによるアダプター除去、bismarkによるイヌゲノムの仮想バイサルファイト処理を行ったデータへのマッピング、各CpGサイトにおけるメチル化/非メチル化数のカウントを行った。その結果、最低でもカバレッジが10,000、最高で1,000,000得られた、つまり0.01%から0.0001%のメチル化を定量可能であることが判明した。また、この際の次世代シークエンスによる解析のコストは数万円であったため、同時に解析したサンプル数が10以上であることを考慮すると、定量とコストに見合った結果が得られることが確認できた。 DNAメチル化定量に関する結果においては、まずその信頼性のチェックのために血漿中セルフリーDNAと並行して腫瘍細胞そのものを同方法によってメチル化を定量したところ、当然のことながら正常細胞には見られない異常なメチル化が検出可能であった。次に血漿セルフリーDNAを用いたDNAメチル化定量では、0.01%-0.2%ほどのメチル化が検出された。本メチル化量が病状と相関するか、サンプル数を増やしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.次世代シークエンスを用いた候補領域の高深度(高カバレッジ)なDNAメチル化定量に関して、血漿セルフリーDNAおよび腫瘍細胞由来DNAからのPCR増幅、ライブラリ作製、次世代シークエンス、DNAメチル化定量に必要なデータ処理のフローが可能あることを確認できた。また、血漿セルフリーDNAにおける、0.01%-0.2%ほどのメチル化が検出された。 2.一方で、期待している病状に相関したDNAメチル化の上昇の検出までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果によって、イヌの悪性黒色腫における血漿セルフリーDNAの高感度なDNAメチル化定量が可能となった。今後、また、腫瘍症例の血漿サンプル収集も継続しているため、今後同一症例の異なる日付におけるDNAメチル化変動について検討していく。悪性黒色腫以外の腫瘍においても検討する対象を広げていくことを考慮していく。DNAメチル化を用いた確固たる早期診断、治療後因子の樹立を念頭におき研究を推進していく。
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