研究課題/領域番号 |
21H02371
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
胡 東良 北里大学, 獣医学部, 教授 (10333733)
|
研究分担者 |
小野 久弥 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80704569)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | スーパー抗原 / ブドウ球菌 / エンテロトキシン / 感染免疫 / ワクチン |
研究実績の概要 |
本年度の研究は主に人及び動物臨床分離株の多くが産生するSECとSEHを中心に、SEsの新たな病原機構を解析し、ブドウ球菌と宿主の攻防メカニズムを解析した。特に、スーパー抗原活性を欠損させた変異毒素を作製し、これらの毒素が宿主細胞との接着・結合性について分子・細胞レベルで検討した。まずは、SEH及び無毒変異mSEHタンパクの作製・精製 (Large scale) を行い、SEHを産生する菌株からゲノムDNAを抽出・精製し、seh 遺伝子を発現ベクター pGEX-6p-1に組換え、GST-fusion protein system により大腸菌タンパク発現系を構築した。また、site-directed mutation法により、SEH分子上のスーパー抗原活性部位を変異させ、無毒変異mSEHを作製し、large scaleにより大量精製した。続いて、SEs遺伝子ノックアウト菌株の作製とブドウ球菌834臨床由来野生菌株との病原性の比較検討を行った。 SEs遺伝子を保有する菌株を用いて、シャットルカセットベクターを設計・構築し、毒素遺伝子をそれぞれノックアウトした isogenic mutant株(Δse) を作製した。さらに、Balb/cマウスに経静脈感染させ、SEs遺伝子ノックアウト菌株と野生株との生存率を比較する。並行して感染早期(3日目)の各変異株と野生株の脾臓、肝臓、腎臓中の生菌数を測定・比較した。野生株よりビルレンスが低下した変異株を選択できた。一方、マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、局所・全身炎症反応及びサイトカイン産生、マウスの生存率を比較検討し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は基本的に計画通り、スーパー抗原活性を欠損させた変異毒素を作製・精製し、毒素遺伝子をノックアウトした isogenic mutant株(Δse) を作製できた。 また、野生株よりビルレンスが低下した変異株を選択できた。マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、局所・全身炎症反応及びサイトカイン産生、マウスの生存率を比較検討し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を解析して、有意義な結果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、さらに、作製した毒素、スーパー抗原活性欠損した毒素、およびスーパー抗原遺伝子欠損菌株を用いて、マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、全身炎症反応とサイトカイン産生を解析し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を精査し、そのメカニズムを究明する。
|