研究課題/領域番号 |
21H02468
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
町田 幸大 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (20553093)
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研究分担者 |
野井 健太郎 大阪大学, ナノサイエンスデザイン教育研究センター, 特任助教(常勤) (30588405)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヒトアクチン / バイオジェネシス / 試験管内 / 再構成 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、申請者が開発したヒト因子由来の再構成型タンパク質合成系に、ヒトの分子シャペロンであるPFDとCCTを添加して「翻訳とフォールディングを共役」させたシステムに拡張した。次に、本研究課題であるアクチンバイオジェネシスの解析においてはアクチンの合成量が律速になると予想されため、これまでシステムに添加していなかった翻訳開始因子eIF5BとeIF2を導入し、共役システムの合成活性の強化を試みた。上記、翻訳開始因子の添加によりシステムの合成活性が2-3倍に増強された。この共役システムを利用して、ヒトの正常型アクチン遺伝子を翻訳したところ、合成(SDS-PAGEのバンド量で解析)、フォールディング(Native-PAGEのゲルシフトで解析)、重合(共焦点顕微鏡で解析)を試験管内で再現することに成功した。さらに、in vitro実験では通常考慮されない反応場の影響を調査するために、ヒト細胞に近い大きさを持つ「再構成型プロトセル(10-20 µmのリポソーム)」内部でもアクチンバイオジェネシスを再現した。同様の解析を先天性神経疾患において重度の症状を示すことが明らかにされている3種の変異型アクチンに対して実施することで、変異型アクチンと正常型アクチンの差は、フォールディング段階と重合段階にあることを明らかにすることができた。さらに、正常型アクチンと変異型アクチンを共翻訳させることで、変異型アクチンが正常型アクチンの重合を阻害することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画1:ヒト因子由来再構成型タンパク質合成系の維持と改善、実験計画2:合成量、フォールディング効率、重合度の解析、実験計画3:再構成型プロトセル調製法の確立とセル内線維の解析と研究実施計画通りに研究が進んでおり、予定より早く論文発表もできたため。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画4:再構成型タンパク質合成系とHS-AFM解析の融合について、研究分担者と連携しながら研究を進めて行く。また、アクチンについてはN末端の修飾が重合反応に重要と言われているので、N末端の試験管内修飾と重合に与える影響も調査する。
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