研究課題/領域番号 |
21H02575
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
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研究分担者 |
吉浦 孝一郎 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304931)
青柳 潔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80295071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HTLV-1 / コホート研究 / 分子系統解析 |
研究実績の概要 |
長崎県五島市で構築している多疾患コホート研究によって収集したHTLV-1陽性血液検体384(2017年度77検体、2018年度120検体、2019年度154検体、2021年度33検体)から抽出したDNAを使い、ハイブリダイゼーションキャプチャー法によって作成したライブラリーを次世代シークエンサーでウイルスの全ゲノム解析を行った。90%程度のサンプルで解析が成功していたことから、本研究専用のパソコンを用意し、今後の分子系統解析に向けた準備を進めた。HTLV-1関連疾患の調査については、ぶどう膜炎の調査票を作成し、五島市内の医療機関でぶどう膜炎症例の調査を行った。 本研究の目的の一つは、HTLV-1キャリアの追跡研究体制を整え、本研究課題を五島市多疾患コホート研究の通常業務として位置づけるともに、毎年の一般住民健診の際に新たな研究協力者を登録することである。2020年度は新型コロナ感染症の拡大に伴って健診が中止され、研究を進めることができなかったが、2021年度は感染対策を講じた上で小規模ながら再開することができた。2021年5月22日から6月16日にかけて11日間の一般住民健診に参加し、325人に本研究へ登録してもらいサンプルとDNAを収集することができた。一般住民健診の問診項目や身体測定データ、検査結果等については自治体と検査会社から提供してもらい専用のデータベースに登録し、血清は専用のディープフリーザーに保存した。また、325検体全てからDNAを抽出し、そのうちHTLV-1キャリアの33検体はHTLV-1の全ゲノム解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HTLV-1キャリアのDNAを使ってHTLV-1ウイルスゲノムのシークエンスが成功し、今後の分子系統解析に進む目途が立ったことは大きな進展である。また、ぶどう膜炎症例の調査体制が整い、コホート研究業務の中に組み込むことができ、一般住民健診が再開されコホート研究を継続することができたことは、本研究を進めていく上で好影響をもたらすことになる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の五島市における一般住民健診とあわせて多疾患コホート研究を進め、研究協力者からHTLV-1キャリアを抽出して本研究に組み入れる。2022年度に新たに収集できたHTLV-1キャリアの検体に加え、2021年度に解析できなかったHTLV-1キャリアの保存DNA287検体(2016年度99検体、2017年度188検体)を使い、2021年度と同様の手法でHTLV-1の塩基配列を決定する。その後、分子系統解析を行って五島市におけるHTLV-1の系統樹を作成するとともに、HTLV-1のサブタイプに従ってグループ化する。そして、コホート研究で追跡している多疾患とHTLV-1との関連について、グループ別に統計解析を行う。
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