研究課題/領域番号 |
21H02626
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松原 勤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
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研究分担者 |
湯川 博 名古屋大学, 未来社会創造機構, 招へい教員 (30634646)
中瀬 生彦 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40432322)
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60343399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HSD17B4 / 肝硬変 / 肝星細胞 / 線維化 / 治療薬 |
研究実績の概要 |
本研究で開発している肝硬変治療薬について以下の実験を行った。 (1-1) マウスから肝細胞、肝星細胞ならびに肝類洞内皮細胞を単離し、それら初代培養細胞に大腸菌発現系で構築した組換えHSD17B4蛋白質を添加すると、すべての細胞において組換えHSD17B4蛋白質の細胞内移行が観察された。さらに、マウスから単離した肝細胞、肝星細胞ならびに肝類洞内皮細胞の膜蛋白質分画を調製し、ショットガン解析により肝細胞、肝星細胞および肝類洞内皮細胞の蛋白質を同定した。現在、HSD17B4蛋白質を断片化し、細胞内取込に関わる配列の同定を試みている。 (1-2) 肝臓では肝星細胞特異的に発現するサイトグロビンの遺伝子プロモーター制御型mCherry発現マウスから肝臓を摘出し、透明化処理した後、ライトシート顕微鏡で観察することにより、肝臓における肝星細胞の局在を3次元的に捉えることに成功した。今後、蛍光量子ドットをHSD17B4蛋白質に付加させ、投与されたHSD17B4蛋白質の肝臓内分布を決定する。 (1-3) ヒトCOL1A1およびCOL1A2遺伝子プロモーター約2.5kのレポーターベクターを構築してHSD17B4蛋白質によるヒトCOL1A1およびCOL1A2遺伝子発現調節機構の解明を試みたが、HSD17B4蛋白質によるヒトCOL1A1およびCOL1A2遺伝子レポーター活性の減弱は観察されず、この領域を介していないと推定された。現在、免疫沈降-ショットガン解析を用いて、HSD17B4蛋白質と結合する転写因子を探索している。 (1-4) 肝がん由来細胞HepG2細胞に大腸菌発現系で構築したHSD17B4蛋白質を添加して、ハイコンテント解析にてHSD17B4蛋白質の細胞毒性を評価したが、今回テストした毒性評価項目においてHSD17B4蛋白質の細胞毒性は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で物品の入手で時間を要しているが、ほぼ予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
1.HSD17B4タンパク質が肝星細胞に取り込まれる分子機序の解明:HSD17B4蛋白質を断片化し、細胞内取込に関わる配列の同定を行う。蛍光量子ドットを用いてHSD17B4蛋白質をライブイメージングして、投与されたHSD17B4蛋白質の肝臓内分布を決定する。 2.HSD17B4タンパク質のCOL1A遺伝子転写制御機構の解明:免疫沈降-ショットガン解析を用いて、HSD17B4蛋白質と結合する転写因子を探索する。 3.HSD17B4タンパク質の有効性・安全性の評価:薬物代謝酵素のmRNAレベルを測定することで、in vitroでのHSD17B4蛋白質の毒性、薬物間相互作用の可能性を評価する。
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