研究実績の概要 |
SbzPホモログPsePの基質認識機構解明のため、クライオ電子顕微鏡解析を進め、NAD結合構造を2.6Aの分解能で取得した。その結果、NADのアデニンがmonomer BのF457、R466によって、二リン酸がR466によって、ニコチンアミドリボシドがmonomer AのY413、Y418とmonomer BのD462とLoop 6によって保持されることを明らかにした(図c)。また、それぞれのアミノ酸残基に変異導入を行った所、F413A, Y418A, F457A, R466A, Y699Aのいずれも80%以上のアザインダンジヌクレオチド生成の減少が見られ、それぞれの基質保持における重要性が示された。その一方で、アデニン、リン酸の保持に関わるアミノ酸変異体F457A、R466A、Y699AはSAMの β,γ-脱離によって生成するmethylthioadenosine (MTA)の生産量が大きく減少した(>64%)。その一方、F413A、Y418Aでは105%、67%とそれぞれ活性上昇、中程度の減少に止まった。このデータより、それぞれSAM認識における異なる役割が示唆された。また、SAMを酵素構造にドッキングし、結合部位に変異を加え、SAMから合成されるMTAの検出、ストップトフロー解析を行うことによって、SAMの結合能を評価した。また、速度論解析から得られた反応機構を提示し、その矛盾を、東京大学大学院農学生命科学研究科の寺田透教授との共同研究にて、ドッキングシミュレーション、MDシミュレーションによって説明した。カリフォルニア大学Dean Tantillo教授との共同研究にて、反応機構のQM計算を行い、その反応性を精査した。
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