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2023 年度 実績報告書

癌細胞との類似性から紐解く性器クラミジアの細胞内適応機構解明研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 21H02726
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

山口 博之  北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650)

研究分担者 中村 眞二  順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (40207882)
THAPA JEEWAN  北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 助教 (40837449)
大久保 寅彦  北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードクラミジア・トラコマティス / 低酸素 / 癌細胞 / PI3K/AKTシグナル / ミトコンドリア / ドラッグ・スクリーニング
研究実績の概要

性感染症の原因であるクラミジア(Chlamydia trachomatis)が、発癌の危険因子であることが明らかになってきた。それ故にクラミジアの細胞内への適応機構の分子機構の解明はそれら病態形成機序を明らかにする上で極めて重要である。しかしクラミジアは未だ遺伝子改変が困難なこともあってその詳細な分子機構は明らかになっていない。そこで本年度はクラミジアの生存性を指標に既存薬と阻害剤ライブラリーのスクリーニングを行いヒットした化合物の細胞標的分子の情報からクラミジアが細胞内で頼る新たな候補分子(Gab2、PKA、PKG、CREB)の同定に成功した。具体的には、以下の2つの点について明らかにした。
1. 既存薬ライブラリー(約4,000)のスクリーニングでクラミジアの増殖を顕著に抑制した薬剤(抗菌薬を除く)のKEGG情報から標的分子候補を類推し、それら候補分子の阻害剤によるクラミジアの影響を精査することで、クラミジアの細胞内増殖が細胞の恒常性維持に重要なPKA、PKG、CREBを要求することを明らかにした。
2. 細胞は解糖系に依存したATPを産生を促進し細胞死を回避するためにPPI3K-AKT経路を活性化する。私たちの以前の研究でクラミジア感染細胞においてAKTのリン酸化(Ser473)が促進することを明らかにした。そこでPI3K-AKT経路に関わる分子の阻害剤パネルを用いてクラミジアの感受性を元にスクリーニングを行い、その結果を元に主成分解析を行ったところ、クラミジアが細胞内で利用する分子としてアダプター分子が候補として同定された。そこで主要なアダプター分子の一つであるGabをノックダウンした細胞でクラミジアの動態を精査したところ、クラミジアがその細胞内での増殖にGabを要求することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の一つの目標としていたクラミジアが細胞内で利用しているこれまでに報告がなかった新たな分子を複数同定できたのできたことがその理由である。

今後の研究の推進方策

最終年度は、私たちが本研究を通して発見した細胞内分子のクラミジアが細胞内で増殖する際の役割を分子レベルで明らかにしたい。またクラミジア感染細胞と癌細胞は類似している可能性があるので、既存薬ライブラリーから同定された薬剤について試験管内での癌細胞の増殖と担癌マウスへの効果を調べる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Exploration for novel signal transduction pathways utilized by Chlamydia trachomatis L2 through screening approved drug libraries2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Yamaguchi, Ruiyu Li, Saicheng Zhang, Torahiko Okubo
    • 学会等名
      アメリカ微生物学会 ASM microbe 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 偏性細胞内寄生性細菌クラミジアのヒト細胞内への適応機構2023

    • 著者名/発表者名
      山口博之
    • 学会等名
      第72回日本感染症学会東日本地方会学術集会・第70回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 低酸素環境とクラミジア・トラコマティスのヒト細胞内適応機構2023

    • 著者名/発表者名
      山口博之
    • 学会等名
      第40回日本クラミジア研究会(高知)
    • 招待講演
  • [学会発表] Chlamydia trachomatis感染時における細胞増殖を促す受容体のアダプター分子 GAB2の影響2023

    • 著者名/発表者名
      黒岩青空, 高橋小夏, 中村穂香, 大久保寅彦, 山口博之
    • 学会等名
      第88回 日本細菌学会北海道支部学術総会(帯広)
  • [学会発表] 低酸素環境における感染細胞内での病原性クラミジア(L2 434/Bu)の増殖はメチオニン代謝産物量の変化に依存する2023

    • 著者名/発表者名
      李睿語、張賽成、タパ・ジーワン、大久保寅彦、東秀明、山口博之
    • 学会等名
      第88回 日本細菌学会北海道支部学術総会(帯広)
  • [学会発表] Chlamydia trachomatisL2 (434/Bu株)が感染細胞内で利用するMAPKおよびPI3K-AKT経路に付随する新たな標的分子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      黒岩青空, 髙橋小夏, 中村穂香, 大久保寅彦, 山口博之
    • 学会等名
      第88回 日本細菌学会北海道支部学術総会(帯広)
  • [学会発表] 承認薬ライブラリーのスクリーニングによるChlamydia trachomatis (L2 434/Bu株) が感染細胞内で利用する新たな標的分子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      張 賽成、李 睿語、大久保寅彦、山口博之
    • 学会等名
      第88回 日本細菌学会北海道支部学術総会(帯広)

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公開日: 2024-12-25  

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