研究課題/領域番号 |
21H02792
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
植田 幸嗣 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, プロジェクトリーダー (10509110)
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研究分担者 |
長山 聡 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70362499)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大腸がん / エクソソーム / 体細胞変異 |
研究実績の概要 |
本研究は新鮮大腸癌組織内、およびその培養分泌エクソソーム内に発現している変異タンパク質を独自のプロテオゲノミクス解析により定量的に一斉同定し、ここから術後早期再発例で特異的に発現が認められる細胞内、エクソソーム内変異タンパク質を特定、再発リスク関連変異タンパク質が持つ分子生物学的機能を明らかにすることで新しい機序の再発リスク診断、再発大腸癌治療法の開発に繋げることを目標とする。2021年度は、患者ごとに大腸がん細胞内外において実際に生理的機能を担う変異タンパク質の包括的な定量発現プロファイルを取得するため、同一患者由来大腸がん組織、正常組織の全エクソーム解析、その情報をもとにした大腸がん組織、および同組織由来エクソソーム中の網羅的変異タンパク質定量解析を実施した。ここでは所属機関において実施されたII期、III期原発大腸がん根治手術症例から術後1年以内再発症例25例、術後4年以上無再発症例25例を抽出し、解析に用いた。これらの症例については手術当日にがん部、正常部組織と共に、新鮮組織培養液由来エクソソームを精製し、保管済みである。がん部、正常部組織は全エクソーム解析に供し、ゲノム配列上の体細胞変異を同定した。ここからアミノ酸置換を伴う変異を抽出し、それらをアミノ酸配列に変換したものをヒト全タンパク質配列データベースに組み込んだ個別化タンパク質配列データベースを作成した。平行してがん部組織とがん組織由来エクソソームをOrbitrap Fusion Lumos-FAIMS Pro LC/MSシステム(Thermo Scientific社)を用いて分析し、得られた質量分析データを上記個別化タンパク質配列データベースに対して検索を行うことで、その個人が保有しうる変異タンパク質を含む全タンパク質発現プロファイルを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りとなる症例数の臨床検体をゲノム、タンパク質解析に供することができ、特段の問題なく両解析ともに進捗している。予定通り2022年度までにこれらのマルチオミクス解析と、それらから得られたデータに対する統計解析、2023年度以降の応用解析に供するターゲットの選出が完了できそうな見込みのため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初計画に従って大腸がん組織、および新鮮組織培養液由来エクソソームのゲノム、プロテオーム解析を進め、2022年度終了時までに両解析と統計解析やネットワーク解析などによるデータの評価、そして新規治療薬・診断薬標的となり得る変異タンパク質群の同定を実施する。
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