研究課題/領域番号 |
21H02805
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
上田 敬太 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60573079)
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研究分担者 |
高畑 圭輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員(任常) (20645311)
久保田 学 京都大学, 医学研究科, 助教 (30760368)
山内 浩 滋賀県立総合病院(研究所), 画像研究部門, 副所長 (40360812)
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
生方 志浦 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40738960)
麻生 俊彦 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 副チームリーダー (50397543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳科学 / 外傷性脳損傷 / 神経心理 / 7TMRI / PET |
研究実績の概要 |
本年は、脳画像のデータ収集を行った。対象者は申請者のおこなう脳損傷外来に通院する外傷性脳損傷症例で、研究参加を承諾した症例を対象に、京都大学医学部附属病院に設置された7TMRIの撮像、および滋賀県立総合病院付属研究所に設置されたPET装置を用いてアミロイド、タウPET画像を取得した。また、参加症例について、急性期の意識障害や受傷機転などの臨床情報、および画像取得時の神経心理学的後遺症、神経学的後遺症、精神医学的後遺症、さらにQOLなどの社会生活状況についての情報を取得した。令和3年度は、7TMRIについては17名、PETについては6名の画像検査を終了している。新型コロナウィルスの蔓延により、滋賀県立総合病院までの患者移動が難しい時期があり、PETについては予定よりある程度少ない症例数にとどまった。今後、感染状況を見ながらではあるものの、症例のリクルートを加速していく予定である。また、これまで撮像したPET画像の予備的検討では、白質や脳幹にアミロイドやタウが沈着している症例が一定の確率で認められ、従来変性疾患ではこのような部位についてのアミロイド、タウの沈着の検討がなされていないことから、今後、解析方法についても検討のし直しを要すると考えている。7TMRIの検査は縦断例すなわち、すでに3TMRIの研究用脳画像を過去に撮像した症例を対象に行っており、今後、経時的な体積変化についても検討を行っていく予定としている。令和3年度は、画像の予備的な解析はまだ十分に進められていないが、外傷性脳損傷症例の呈する神経心理学的後遺症、精神医学的後遺症としてのアパシー、抑うつについて、その鑑別を行うためにクラスター解析を用いて検討し、結果を学術誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、令和2年度に引き続き新型コロナウィルスの蔓延が複数回生じ、行動制限が課される期間が長く生じた。本研究では、アミロイド、タウPETについては滋賀県立総合病院に設置済みのPET装置を用いて行う計画であり、脳損傷患者さんに滋賀県立総合病院まで来ていただく際に、承諾される患者数が制限される、あるいは病院の感染対策上、検査できた時期が限られるなどの問題があり、主にPET画像の撮像については、予定より少ない件数になった。
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今後の研究の推進方策 |
すでに7TMRIのデータは十分に存在するため、2022年度については予備的な画像解析を開始する予定である。1つ目の研究として、大脳皮質および白質間の微細損傷について、7TMRIのMPRAGE画像を用いて、灰白質らしさの変化を基に検討を行っていく。2つ目は脳幹の微細構造のROI作成を行う。特に黒質の損傷はびまん性軸索損傷の重症度分類にも取り入れられているものであり、黒質のROIを自動化できる試みを行ったうえで、体積評価、およびそこからの軸索走行の評価を行う予定としている。
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