研究課題
(Aim1) Iba1-KO マウスの樹立:ゲノム編集を用いて、Iba1ターゲティングを行う. ゲノム編集はすでに修了しており、現在計画繁殖を行っている.現時点では、繁殖過程においてIgLON5 KOマウスの出生率や交配率に低下は認められず、生育の有意な差異も認められていない.(Aim2) IgLON5 KOマウス:KO、野生型マウス各60匹を得ており、生化学的サンプリングをすすめている. 繁殖過程においてIgLON5 KOマウスの出生率や交配率に低下は認められず、生育の有意な差異も認められていない. また、通常の飼育下では、あきらかな行動異常も観察されていない. 組織学的解析を進めており、大脳―小脳における凍結切片では、野生型マウスと形態学的、組織学的な有意な違いは認めなかった. また、トランスクリプト―ムレベルの違いを明らかとするため大脳皮質、海馬、中脳、橋よりRNAを抽出してRNA-Seq解析を進めている.現時点では、有意な遺伝子変化はとらえられていない.総じて、IgLON5欠損による明らかな表現型は観察されていない. すなわち、発生、生育、繁殖過程ではIgLON5は必須ではない可能性が示唆される. 今後、詳細な運動解析、P301S tau tgマウスとの交配による表現型の変化を解析する. また、抗IgLON5抗体脳症の最も特徴的な症状である睡眠障害の解析(脳波測定試験、睡眠ポリグラフ測定)を行っている.
2: おおむね順調に進展している
ゲノム編集による遺伝子解析マウスの樹立は、順調にすすんでいる。
2022年度は、Iba1-KOマウスとIgLON5 KOマウスの表現型解析を中心に行う。(Aim1) Iba1-KOマウスは、発達過程の評価のため行動学的、組織学的検討を行う. とくに、神経系形態学的検討(ゴルジ染色による前頭葉、海馬の樹状突起スパイン、シナプス前マーカーSynaptophysin シナプス後マーカーPSD95での免疫染色組織)は詳細に進め、神経発生、正常脳組織におけるミクログリアIba1の役割を明らかにする.(Aim2) IgLON5自体の生理的機能はまだ不明である. 本研究では、新規神経変性モデルマウスとしてIgLON5 KOマウスを作製し、抗IgLON5抗体による炎症とタウ蓄積の分子メカニズムを明らかにしタウ凝集阻害の治療戦略確立を目指す. KOマウスに対しては、海馬、視床下部の神経細胞死、不溶性タウの蓄積を組織学的、生化学的に解析する. 運動解析としては、Rota-rod、hanging wire testにて検討する. 認知機能の解析として不安様行動 (open field)、空間作業記憶(Y maze)、文脈記憶 (Trace fear conditioning test)、社交性の障害(3 chambers test)、脳波解析を検討し表現型解析を定量化する.また、近年の知見からゲノム編集による新たな筋萎縮性側索硬化症FUSノックインマウスモデルの作成に取り組みを始めている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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