研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)は、寡動・筋固縮などの運動障害症状を主症状として、認知症も併発する疾患であり、国内に15万人の患者がいる主要な神経変性疾患である。PDの大多数は孤発性に発症し、5%程度の患者にはなんらかの家族歴を認め、また、明らかなメンデル遺伝性の家系も存在するなど、遺伝学的には多遺伝性疾患、単一遺伝性疾患の両面性がある。疾患理解と根治療法開発などを念頭に、PDの遺伝学的な解明が、国内外で精力的に行われているが、家族性・孤発性ともにPDの遺伝背景の多くは解明されていない。申請者は、ゲノムワイド関連解析(Satake W et al, Nature genet 2009)や全エクソーム解読による関連解析など、パーキンソン病の大規模かつ系統的なゲノム解析を行い、新規のパーキンソン病遺伝子を発見してきた。さらに、ゲノム情報を用いたin silico 解析によるdrug repositioning 創薬を行い、PDの疾患修飾薬となりうる薬剤としてDabrafenibを見出す, PD薬ゾニサミドの薬効を規定するゲノムマーカーを見出すなど、ゲノム情報の臨床応用研究を行ってきた。本申請ではこれら研究をさらに発展させパーキンソン病の基盤的ゲノム医科学研究を行う。
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今後の研究の推進方策 |
申請者は、ゲノムワイド関連解析(Satake W et al, Nature genet 2009)や全エクソーム解読による関連解析など、パーキンソン病の大規模かつ系統的なゲノム解析を行い、新規のパーキンソン病遺伝子を発見してきた。さらに、ゲノム情報を用いたin silico 解析によるdrug repositioning 創薬を行い、PDの疾患修飾薬となりうる薬剤としDabrafenibを見出す(Uenaka T, Satake W, et al, Hum mol Genet 2018), PD薬ゾニサミドの薬効を規定するゲノムマーカーを見出す(Cha PC, Satake W, et al, J Hum Genet 2019)など、ゲノム情報の臨床応用研究を行ってきた。しかしながら、常染色体優性遺伝性PDでは数%、劣性遺伝性でも40%程度の患者にしか原因変異は見つからない。孤発性PDにおいてはこれまで報告されたリスク遺伝子により遺伝的分散の30%程度が説明されるのみであり、家族性・孤発性ともにPDの遺伝背景の多くは解明されていない。そこで本申請では申請者らこれまでの研究を発展させパーキンソン病の基盤的ゲノム医科学研究を行う。パーキンソン病の遺伝解析を行うと同時にショウジョウバエ解析を進める。
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