研究課題/領域番号 |
21H02910
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柴 祐司 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70613503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | iPS細胞 |
研究実績の概要 |
1)カニクイザルMHC型の同定とドナーiPS細胞の樹立 フィリピン産カニクイザルのMHC型ホモ接合体個体からiPS細胞を樹立した。この細胞に対して、CRISPR-Cas9を用いてbeta2ミクログロブリンをノックアウトすることに成功した。また、これらの細胞から心筋細胞を作製できることを確認した。
2)カニクイザル発光イメージングシステムの開発 カニクイザルiPS細胞に対してAkaluc遺伝子を導入し、さらに心筋細胞に分化させた。この細胞をカニクイザル心臓に移植したところ、移植1週間後から4週間後までの間で、移植細胞の生着を発光イメージングで評価することに成功した。
3)同種心筋細胞移植試験 移植用心筋細胞を大量作製し、凍結保存した。カニクイザル心筋梗塞モデル2頭に対して、2x10^7のAkaluc陽性カニクイザル心筋細胞(MHC型不一致)を移植した。レシピエント動物に対して、ステロイド剤、カルシニューリン阻害剤、核酸合成阻害剤の3種類の免疫抑制剤投与によって、4週間グラフト心筋が生着した。グラフトの生着は発光イメージングおよび組織学的解析によって行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カニクイザルiPS細胞の樹立、移植用心筋細胞の作製・凍結保存など順調に進んでいる。また、低免疫原性iPS細胞の作製に関して、beta2ミクログロブリンのノックアウトに成功した。またレシピエント個体について、MHC型ヘテロ接合体個体の確保に成功した。 カニクイザル発光イメージングの開発において、カニクイザル心臓に移植した心筋細胞の生着を発光イメージングで定量的に評価できるとことを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の試験において行った2頭の移植試験の結果から、3種類の免疫抑制剤(スタロイド剤、カルシニューリン阻害剤、核酸合成阻害剤)の投与量、投与開始時期を最適化した上で、in vivo試験を継続する。また低免疫原性iPS細胞の作製について、beta2ミクログロブリンのノックアウトに加えて、CD47を強制発現する細胞を作製する。
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