研究課題
Ro52 (TRIM21) は、TIF1ファミリーと同様にTRIM superfamilyに属する分子で、筋炎関連抗体の標的抗原であるRo52/TRIM21の細胞表面発現機構と抗Ro52抗体による免疫応答について解析した。Ro52とHLA class IIが複合体を形成する可能性が考えられたので、その検討を行った。Ro52単独ではHLA class II分子により細胞表面に輸送されなかったが、IgG重鎖とHLA class II分子の両方が存在すると細胞表面に輸送され、Ro52/IgG/HLA-DR複合体が形成されることが示された。このRo52/IgG/HLA-DR複合体は、筋炎患者由来の自己抗体により特異的に認識された。筋炎患者120名を4種類の筋炎特異抗体で評価し、Ro52/IgG/HLA-DR複合体に対する自己抗体を解析したところ、Ro52/IgG/HLA-DR複合体に対する特異的抗体は、抗MDA5抗体および抗ARS抗体がそれぞれ陽性であった患者の90%および93%において検出された。これら2群の患者において、抗Ro52/IgG/HLA-DR特異的抗体の血清力価の変化は、呼吸器症状を反映するKL-6(抗MDA5抗体陽性DM患者ではR = 0.51、抗ARS抗体陽性PM/DM患者ではR = 0.67)および筋症状を反映するCK(抗ARS抗体陽性PM/DM患者においてR = 0.63)の経時的変化と相関が認められた。以上より、細胞表面に発現するRo52/IgG/HLA-DRに対する抗体が、筋炎のサブグループの病態に関与している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って進捗しているため。
抗TIF1抗体についても同様の検討を進める。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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