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2021 年度 実績報告書

皮下血管誘導反応の機構解明に基づく細胞移植用免疫寛容空間構築技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H02986
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

穴澤 貴行  京都大学, 医学研究科, 助教 (90566811)

研究分担者 藤本 七恵  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定研究員 (00838691)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード膵島移植 / 糖尿病 / 細胞移植 / 再生医療
研究実績の概要

膵島細胞移植モデルを用いて、皮下に血管新生誘導し細胞移植する際に惹起される生体反応を解明し、至適な時期の移植を可能とし、細胞障害の少ない移植部位を構築することを目的とした研究を行った。 これまでの皮下細胞移植のアプローチは、マイクロあるいはマクロカプセルに封入して移植することが主流であったが、細胞生存率の低下や、細胞の機能低下が問題であった。本方法では、酸素と栄養素供給、老廃物排出のための血管新生を先に行い、生体反応を利用し移植細胞の機能を阻害することない細胞移植が可能となり、これまでの欠点を克服するアプローチが実施できる。
b-FGFをアガロースに担持させマウスの皮下に埋め込み、生体内異物反応と血管新生誘導刺激により皮下に細胞移植用空間を形成した。まず、拒絶反応のない系で血管誘導の至適条件を解明するため、C57BL/6マウスにて、ストレプトゾトシン(STZ)による糖尿病マウスへの同系皮下膵島移植(600IEQ)を行い、血管誘導期間の差異による移植成績を検証した。血管誘導14日間群は、7日群に比して早期の血糖正常化を示した。14日群では移植部位に多数のマクロファージ集積を認め、7日群ではマクロファージ1のマクロファージ2に対する比率が高く、移植部位局所でのIL-6, TNFが高値であることが明らかとなった。7日群で抗TNF抗体を使用すると早期に血糖正常化が得られ、炎症性サイトカインが移植細胞生着に影響を及ぼしていることが示唆された。皮下移植前の血管床誘導において、誘導後早期はマクロファージ1の集積による炎症性サイトカイン産生により早期生着が妨げられると結論づけた。臨床応用の際には、血管誘導後の最適な移植環境の設定を探る必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、「皮下細胞移植部位成立機序の解明とバイオマーカー探索」を具体的目標として研究を実施した。皮下への膵島(細胞)移植では、血管誘導が必要であることは知られていたが、その誘導が炎症反応を引き起こし、移植細胞の生着に悪影響を及ぼす、とするこれまでに明らかにされていなかった知見が得られたことは、本研究の目的の達成において重要である。マウスを用いた同系(Syngeneic)皮下膵島細胞移植での生着至適条件設定が完了したため、血管誘導に伴う反応の制御を検討することで、目標の達成に近づくことができるものと思われる。

今後の研究の推進方策

膵島細胞皮下移植モデルにおける、至適および非至適条件間の免疫細胞解析と液性因子の評価によるバイオマーカー探索を引き続き進める。皮下細胞移植部位構築における生体反応の推移を解明し、仮説としている、「抑制性サイトカイン産生亢進時期が至適移植実施時期である」ということを証明するための検討を行い、皮下膵島細胞移植寛容モデルの作成を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of the Transplant Site Environment in Prevascularized Subcutaneous Islet Transplantation.2021

    • 著者名/発表者名
      Anazawa T, Inoguchi K, Emoto N, Fujimoto N, Yamane K, Tada S, Hata K, Masui T, Taura K, Hatano E.
    • 雑誌名

      Transplantation

      巻: 105(12S1) ページ: S44

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 1型糖尿病に対するアプローチ:膵島移植と再生医療の現在地2021

    • 著者名/発表者名
      穴澤 貴行、伊藤 孝司,江本 憲央,秦 浩一郎,増井 俊彦,田浦 康二朗,波多野 悦朗、藤倉 純二,稲垣 暢也
    • 学会等名
      第57回日本移植学会総会
  • [学会発表] Evaluation of the transplant site environment in prevascularized subcutaneous islet transplantation2021

    • 著者名/発表者名
      Anazawa T, Inoguchi K, Emoto N, Fujimoto N, Yamane K, Tada S, Hata K, Masui T, Taura K, Hatano E.
    • 学会等名
      The 2021 Virtual Congress of the International Pancreas and Islet TransplantationAssociation
    • 国際学会
  • [学会発表] 保険適用となった膵島移植の現状と展望2021

    • 著者名/発表者名
      穴澤 貴行、伊藤孝司、秦浩一郎、増井俊彦、田浦康二朗、波多野悦朗 藤倉純二、稲垣暢也
    • 学会等名
      第64回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 招待講演
  • [図書] Pancreas Transplantation;the Asian Experience Islet Transplantation2021

    • 著者名/発表者名
      Yuumi Akashi, Takayuki Anazawa, Junji Fujikura, Chung Gyu Park
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-16-4597-6

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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