研究課題/領域番号 |
21H03002
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜井 孝夫 広島大学, 病院(医), 教授 (10444689)
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研究分担者 |
坂本 直也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (20571798)
高倉 有二 広島大学, 学内共同利用施設等, その他 (20581698)
仙谷 和弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (30508164)
池上 恒雄 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396712)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (90309352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 治療抵抗性大腸癌 |
研究実績の概要 |
研究の目的:本研究では,治療抵抗性大腸癌に分類されるCMS3(代謝型)大腸癌,CMS4(間葉型)大腸癌の分子病態の解明と新規分子標的の同定による治療法の開発を目的とする. (1)CMS3(代謝型)大腸癌ではドライバー遺伝子としてRAS, BRAF,PI3K/PTENなどが関与している. Apc+Krasマウスでは、ゲノム不安定性に起因するheterogenietyが存在することから、二つのゲノム不安定性(MSIとCIN)を背景に遺伝子発現プロファイルを比較することで応答分子の同定と病態の解明を目指す.(2)CMS4(間葉型)大腸癌(Apc+Tgfbr2マウス)では粘液癌が発生する. heterogenietyの原因を解明するために、関連する分子の同定を目指す.
研究内容 1. CMS3マウスモデル:Apc+Ptenマウスは、ヒトの高度浸潤癌に極めて近い分子病態であり、網羅的遺伝子解析により応答分子の同定を行った. またPI3K/PTENの下流で中心的な役割を担っているmTORを特異的阻害剤(Rapamycin)によって阻害することで高い抗腫瘍効果が得られるモデルを確立し,Wnt経路やPI3K/Pten経路の影響下でmTOR阻害による効果を比較し,CMS3(代謝型大腸癌)におけるmTOR阻害剤の効果予測因子の同定を行った。腫瘍の遺伝子発現プロファイル検査と全ゲノム解析を行い、Pten欠損による発がん機構に与えるゲノム不安定性への影響を解析した。 2. CMS4マウスモデル:Apc+Tgfbr2変異マウスで腫瘍内に粘液癌が発生するというheterogenietyが観察されており、形態の異なる腫瘍の発生原因を究明するために,異なる形態の腫瘍を回収して遺伝子発現プロファイルを比較した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. CMS3マウスモデル Apc+Ptenマウスは、ヒトの高度浸潤癌に極めて近い分子病態であり、網羅的遺伝子解析により応答分子の同定を行った. またPI3K/PTENの下流で中心的な役割を担っているmTORを特異的阻害剤(Rapamycin)によって阻害することで高い抗腫瘍効果が得られるモデルを確立し,Wnt経路やPI3K/Pten経路の影響下でmTOR阻害による効果を比較し,CMS3(代謝型大腸癌)におけるmTOR阻害剤の効果予測因子の同定を行っている.腫瘍の遺伝子発現プロファイル検査と全ゲノム解析を行い、Pten欠損による発がん機構に与えるゲノム不安定性への影響を解析している。2021年度、解析予定であった対象マウスを作成し、それらに発生した大腸癌ならびに正常部分の組織を回収した。そこから得られた腫瘍を使ってgenotypeの確認や標的蛋白質の免疫組織学的検査を施行し、目的となる分子の欠失などを確認した。また腫瘍の一部からDNA, RNAを抽出して精度を確認したところ、検査に適した品質が確認できたため、全ゲノム解析を含む網羅的遺伝子解析を行なった。 2. CMS4マウスモデル Apc+Tgfbr2変異マウスで腫瘍内に粘液癌が発生するというheterogenietyが観察されており、形態の異なる腫瘍の発生原因を究明するために,異なる形態の腫瘍を回収して遺伝子発現プロファイルを比較する. 2021年度の解析対象マウスを作成し、それらに発生した大腸癌ならびに正常部分の組織を回収した。また、そこから得られた腫瘍を使ってgenotypeの確認や標的蛋白質の免疫組織学的検査を施行し、目的となる分子の欠失などを確認した。また腫瘍の一部からDNA, RNAを抽出して精度を確認したところ、検査に適した品質が確認できたため、全ゲノム解析を含む網羅的遺伝子解析を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
1. CMS3マウスモデル Apc+Ptenマウスは、ヒトの高度浸潤癌に極めて近い分子病態であり、PI3K/PTENの下流で中心的な役割を担っているmTORを特異的阻害剤(Rapamycin)によって阻害することで高い抗腫瘍効果が得られるモデルである。また、染色体不安定性による発癌機構が関与していると考えられるため、全ゲノム解析を含めたゲノム不安定性についての解析によって、これまで検出されてこなかったゲノムのrearrengementなどについての情報が入ってくる可能性がある。2022年度中に全ゲノム解析の結果を詳細に解析して、大腸癌におけるPI3K/PTENシグナルの影響をマウスで解明後、ヒトの大腸癌で検証する予定で研究継続した。 2. CMS4マウスモデル Apc+Tgfbr2変異マウスで腫瘍内に粘液癌が発生するというheterogenietyが観察されており、形態の異なる腫瘍の発生原因を究明するために,異なる形態の腫瘍を回収して遺伝子発現プロファイルを比較する. 本マウスにおいても、染色体不安定性による発癌機構が関与していると考えられるため、全ゲノム解析を含めたゲノム不安定性についての解析によって、これまで検出されてこなかったゲノムのrearrengementなどについての情報が入ってくる可能性がある。2022年度中には、全ゲノム解析の結果を詳細に解析して、大腸癌におけるTGFのシグナルの影響をマウスで解明後、ヒトの大腸癌で検証する予定で研究を継続した。
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