研究課題/領域番号 |
21H03012
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
久保 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10441320)
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研究分担者 |
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80434950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | がんウイルス療法 / 増殖型レトロウイルスベクター / 自殺遺伝子 |
研究実績の概要 |
1、MSCの腫瘍細胞への遊走能、RRV送達効率の評価 GFPで蛍光標識したヒトMSC(骨髄由来3株、脂肪由来1株、臍帯由来1株)、及びmCherry標識したヒト腫瘍細胞株(大腸癌3株、胃癌3株、悪性中皮腫2株、卵巣癌3株)を用いて、MSCの腫瘍細胞株への遊走能をTranswell plate上で検討した。その結果、全てのMSCが腫瘍細胞への遊走性を示し、その効率は多くの腫瘍細胞で、脂肪由来MSC>臍帯由来MSC>骨髄由来MSCの順で高かった。また、MSCから腫瘍細胞へのRRV伝達効率は、共培養下ではTranswell系より高効率であった。
2、MSCの腫瘍細胞への集積、RRV送達、腫瘍内RRV伝播の評価 上記のmCherry標識腫瘍細胞株をヌードマウスの皮下、腹腔内にそれぞれ移植した。1週間後、ルシフェラーゼ発現RRV(AMLV及びGALV) をそれぞれ感染させたMSCを尾静脈内投与し、in vivoイメージング機器(IVIS Lumina-II、発光・蛍光対応)を用いて定期的に解析したところ、MSCの腫瘍集積、RRV伝達を認めた。その伝達効率は、脂肪細胞由来MSCで最も高率であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、コロナ禍で動物実験開始が遅れたが、その後回復した。
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今後の研究の推進方策 |
1、皮下腫瘍モデルでの治療実験 ヌードマウスに腫瘍細胞株を皮下移植し、 その1週間後に自殺遺伝子であるシトシン脱アミノ化酵素(CD)あるいはヘルペスウイルス由来チミジンキナーゼ(TK)を発現するRRVを感染させたMSCを尾静脈内投与する。投与1週間後から薬物前駆体である5-フルオロシトシン(5-FC)あるいはガンシクロビル(GCV)を2週間隔日投与する。定期的に腫瘍径を測定し抗腫瘍効果を比較検討する。 2、腹膜播種モデルでの治療実験 ヌードマウスの腹腔内にmCherry標識腫瘍細胞株を移植する。1週間後にPBS(未治療群)、RRV単独、自殺遺伝子搭載RRVを感染させたMSCを、担癌マウスに腹腔内投与し、投与1週間後から薬物前駆体を隔日投与する。抗腫瘍効果の判定には、体重、腹水量、in vivoイメージング解析結果、病理組織学的所見を比較検討する。また生存期間の差異についても検討する。
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