研究課題/領域番号 |
21H03023
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山内 正憲 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00404723)
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研究分担者 |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
城戸 幹太 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40343032)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 遷延性術後痛 / ラット疼痛モデル / 高周波パルス法神経ブロック / 次世代DNAシークエンサー / トランスクリプトーム解析 |
研究実績の概要 |
東北大学麻酔科では知覚過敏が60日間持続するラット下肢遷延性術後痛(CPSP)モデルの開発に成功した.本研究の初年度はCPSPモデルラット群(N=3)と偽手術のラット群(N=3)で,手術開始から14日目に手術側の脊髄とDRGを取り出し,全量RNAを抽出して次世代DNAシークエンサーでRNA-seqを行った.シークエンスの結果(リード)はHISAT2でラット参照ゲノム(rn6)にマッピングし,StringTieでカウントデータを作成した.その結果,脊髄および後根神経節でそれぞれ約28,000個のmRNAの発現量が測定された.これらのmRNAのうちDESeq2で発現量を比較したところ,偽手術群に対してCPSPモデル群で2倍以上の発現量の増加または低下がある発現変動遺伝子は脊髄で32個,後根神経節で179個であった.興味深いことに脊髄で変動した32遺伝子のうち,グルタミン酸受容体のリン酸化酵素であるFynの発現変動が観察された.さらにわれわれはラットに適用できる(PRF: Pulsed Radiofrequency)機器の開発に取り組んだ.現在,シンセサイザWF1946A(エヌエフ回路設計ブロック社)でパルス波を合成して,スーパーバイポーラ電源HSA4101(エヌエフ回路設計ブロック社)で増幅する自作のシステムを構築中である.しかし針先の温度調節に難渋しており,さらなる検討が必要である.研究分担者の小玉教授に医工学的観点から助言を得る必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に主眼を置いていた分子生物学実験,トランスクリプトーム解析は順調に進行し,興味深い結果を得た.もう1つのPRF機器作成は計画からわずかに遅れているが,時間が許せば問題ないと思っている.
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今後の研究の推進方策 |
PRFは神経組織へのダメージが少なく,痛みを中枢へ伝えるC繊維とAδ繊維だけに,数週間に限って変化を起こすことが期待される治療介入である.2022年度ではラットCPSPモデルにPRF療法を行い,機序や効果を検討する予定である.まずはラットをイソフルラン麻酔下にCPSP手術を行った後,最小の椎弓切除と椎間関節切除の後にL4の神経根(DRG近傍)でPRFを行うことができるようにしたい.
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