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2021 年度 実績報告書

血液脳関門の破綻に着目した術後神経認知機能障害の発症機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H03025
配分区分補助金
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

祖父江 和哉  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90264738)

研究分担者 志田 恭子  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (00381880)
加藤 大輔  名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (10712292)
小山内 実  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90286419)
大澤 匡弘  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (80369173)
中西 俊之  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80857243)
仙頭 佳起  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80527416)
打田 佑人  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20834261)
上村 友二  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80791144)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード術後神経認知機能障害 / 血液脳関門 / ミクログリア
研究実績の概要

高齢マウス(17-18カ月齢)を使用する予定だったが、コロナ禍で入手困難であること、予備実験で14-15週齢でも術後神経認知機能障害(NCD)の確認ができたことから、 14-15週齢のマウスを使用した。探索的開腹術を実施(手術時間15分)し、麻酔時間は計2時間(FiO2=0.3、イソフルラン=1.8%)とした。認知機能の評価は新規物体認識試験(NOR)で麻酔前後に行い、識別率を比較した。麻酔後の識別率の有意な低下を認め、術後NCDモデルを確立した。血液脳関門(BBB)の破綻のマーカーとして、エヴァンスブルー(EB)を用いるため、円形開頭術後、EB投与後の認知機能に与える影響を調べたが、いずれも問題なかった。
円形開頭術後の術後NCDモデルを使用し、BBBの破綻の部位と時間の検討を行った。2光子顕微鏡でEBおよびフルオレセイン投与後の血管を、術前、術後1、3、5、7、10日目に確認したが、破綻は確認できなかった。また、時系列の確認中にEBでリング状に染まる細胞が出現したことや、EB連続投与による有意な体重減少を認めたことから、EBが長期間の観察には適さない可能性が考えられた。さらに、血中のEBはアルブミンと結合し、68kDaの大型な分子となるため、小さな破綻の確認には向かないと考え、10kDaのデキストランでの検討に変更した。現在、海馬を中心としたBBBの破綻の解析方法を検討中である。10kDaデキストランとトマトレクチンを同時に眼窩注することで血液と血管壁の染色をし、血管外への漏出がないか解析中である。また同時に全脳の透明化の検討も行っている。
また、今年度予定していたqAIM-MRI法や脳波の測定については、BBBの破綻部位と時間が判明次第、速やかに実施できるように準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍でマウスの供給が不安定になり、実験が一時的に止まった時期があった。また、2光子顕微鏡の故障もあり、観察ができないことも重なった。
エバンスブルーをBBB破綻のマーカーとして使用していたが、検討の結果、デキストランに変更したため、実験の進捗に影響が出た。

今後の研究の推進方策

1) 術後NCDモデルのBBBの破綻の確認:昨年度に引き続き、術後NCDモデルマウスに10kDaデキストランを眼窩注射後、全脳を採取し、共焦点顕微鏡で漏出部位と時間を特定する。また、2光子顕微鏡を用い、透明化処理した全脳を観察することで漏出部位の空間的情報を取得する。さらに、BBBの破綻部位の神経活動の確認のため、①活動依存性マンガン造影MRI(qAIM-MRI)法、②高密度多点電極による多数の脳領域からの脳波測定、を実施する。
2) BBBの破綻の発生機序の解明:ミクログリアの関与の検討のため、1)と同様に2光子顕微鏡で、円形開頭術後に麻酔・手術を実施し、前後7日間の経時的な血管とミクログリアの動態観察を行い、BBBの破綻とミクログリアの血管周囲への集積と活性化を評価する。その後、新規物体認識試験で認知機能を調べ、BBBの破綻およびミクログリアの血管周囲への集積と活性化と「術後NCD」との相関を評価する。
3)臨床研究:基礎研究でBBB破綻が確認できたら、予定している検討を開始する。

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公開日: 2022-12-28  

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