研究課題
慢性痛に対して、その発症脆弱性や治療反応性の個人差に注目し、その遺伝要因を解明するとともに、遺伝要因から慢性痛の病態メカニズムの解明につなげることを目的としている。具体的には以下の5つの研究項目を実施している。(1)歯科及び医科の慢性痛症例の臨床データとゲノムDNAを計700症例収集する。(2)遺伝子多型解析及び関連解析を行う。(3)収集済みの疼痛・鎮痛関連試料(7000例)及び構築済みの関連多型データベース(2000例)を用いて関連遺伝子多型を比較・検証する。(4)慢性痛の病態メカニズムの一端を明らかにする。(5)テーラーメイド疼痛治療法を改良する。令和3年度は以下の実績を上げた。[1]歯科慢性痛データとゲノムDNAのセットの収集:東京歯科大学水道橋病院において慢性痛患者に関して、主に研究分担者(福田)が診断ツールpainDETECTなどを用いて慢性痛に関するデータ及び奏効する治療法情報などを収集するとともに、末梢血を採取した。匿名化後にLSIメディエンス社において末梢血よりゲノムDNAを精製し、新規に45症例を収集して合計195症例とした。[2]医科慢性痛データとゲノムDNAのセットの収集:順天堂大学関連病院において慢性痛患者に関して、主に研究分担者(井関)が、新規に200症例の臨床データを収集し、末梢血あるいは口腔粘膜を採取するための倫理計画書の準備を開始した。[3]慢性疼痛関連解析結果データベースの構築と候補関連多型の比較・検証:主に研究分担者(西澤)と研究協力者(中山、江畑)が既存350症例でのGWAS解析結果を分析し、英文原著論文を発表した。また、HS3ST4遺伝子多型が慢性疼痛発症脆弱性と関連することを見い出し、英文原著論文を発表した。
2: おおむね順調に進展している
新規症例の臨床データとゲノムDNAの収集を開始している。慢性痛の発症脆弱性と関連する遺伝子多型をゲノムワイドに探索し、関連多型を見い出し、英文原著論文を発表した。HS3ST4遺伝子多型が慢性疼痛発症脆弱性と関連することを見い出し、英文原著論文を発表した。
[1]歯科慢性痛データとゲノムDNAのセットの収集(R3-5):東京歯科大学水道橋病院において慢性痛患者に関して、主に研究分担者(福田)が診断ツールpainDETECTなどを用いて慢性痛に関するデータ及び奏効する治療法情報などを収集するとともに、末梢血を採取する。匿名化後にLSIメディエンス社において末梢血よりゲノムDNAを精製する。新規に105症例を収集して合計300症例とする。[2]医科慢性痛データとゲノムDNAのセットの収集(R3-6):順天堂大学関連病院において慢性痛患者に関して、主に研究分担者(井関)が臨床データを収集し、末梢血あるいは口腔粘膜を採取する。末梢血の場合はLSIメディエンス社、口腔粘膜の場合は東京都医学総合研究所においてゲノムDNAを精製する。本研究課題で新規に200症例を収集して合計400症例とする。[3]慢性疼痛関連解析結果データベースの構築と候補関連多型の比較・検証(R3-7):主に研究分担者(西澤)と研究協力者(中山、江畑)が既存350症例でのGWAS解析結果を分析する。[4]疼痛・鎮痛と関連する7000例での個別多型解析(R3-7):[3]での候補関連遺伝子多型に関して、疼痛・鎮痛関連の既存1700例のGWASデータベースより、主に研究協力者(中山、江畑)が抽出する。GWASデータがない場合は、主に研究協力者(長谷川)が既存7000例においてTaqMan法により解析する。[5]疼痛候補関連多型の比較・検証(R3-7):主に研究代表者(池田)と研究分担者(西澤)が、[4]の多型判定結果を基とした関連解析を行い、慢性痛関連候補多型が疼痛・鎮痛の他の測定項目と関連するかを比較・検証する。[6]慢性痛病態メカニズム解析(R3-7):主に研究代表者(池田)と研究分担者(西澤)が、複雑な遺伝子間解析、遺伝子-環境相互作用解析、及びデータマイニング等について、パスウェイ解析及びオントロジー解析を適宜行い、慢性痛の病態に関与する分子メカニズムを同定する。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 7件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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