研究課題/領域番号 |
21H03032
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
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研究分担者 |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (00437427)
上村 恵理 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20850647)
村瀬 壮彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40823315)
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミクログリア / 中枢神経障害 |
研究実績の概要 |
救急・集中治療領域では、頭部外傷後の後遺症や、敗血症・熱中症後の認知機能障害やうつ症状が社会復帰への大きな障壁となっている。しかし、そのメカニズムは未だに解明されていない。単球・マクロファージ(Mo/Ma)やミクログリア(Mi)のフェノタイプは共通して炎症性(M1)、あるいは抗炎症性(M2)に作用すると考えられたきたが、我々はMo/MaやMiが異なる時期に異なる作用を与えるのではないかと考えた。本研究においては、頭部外傷、敗血症、熱中症モデルを用いて、Mo/MaあるいはMiを枯渇させることにより、それぞれが急性期の炎症や亜急性期の神経再生に果たす役割を明らかにする。 初年度は頭部外傷の病態解析のため、マウス頭部外傷モデル(TBI)の損傷脳におけるmRNA、miRNAの発現を網羅的に解析するため次世代シークエンサー解析(NGS)を施行した。マウス頭部外傷モデルを用いてコントロール、TBI day1, TBI day7(各n=3)でシークエンスライブラリの作成を行い、NGSはIllumina社 Miseqにてシークエンスを行った。 また、以前の研究で頭部外傷直後に遺伝子発現が低下したRGMaおよびその受容体であるNeogeninの免疫染色を行った。RGMaは、Controlのマウス検体ではRGMa陽性細胞を大脳皮質に認めた。また、ShamにおいてもRGMa陽性細胞はControlと同様に大脳皮質に認めた。一方、Day1の検体ではRGMa陽性細胞は認められなかった。Neogeninについては抗体の種類により染色の程度が異なり染色に難渋した。抗Neogenin抗体(AF1079)では染色されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス頭部外傷モデルを用いてコントロール、TBI day1, TBI day7(各n=3)でシークエンスライブラリの作成を行ったがこれに予想以上の時間を要した。また、RGMaおよびNeogeninの免疫染色、特にNeogeninの染色に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は次世代シークエンサーの結果からデータ解析をすすめて、統計的に有意に発現の上昇、低下しているターゲットを同定する。次に、クラスター解析で頭部外傷損傷部でのマクロファージ、ミクログリアの活性化や、神経損傷、神経再生に関連して変化していると考えられるターゲットを同定する。それらのターゲットに対して、TBI後の損傷脳におけるmRNA(or miRNA)の経時的な発現変化をqPCRで測定し、蛋白についてはWestern blottingで発現を測定する。また脳組織の免疫染色で各細胞マーカーとターゲット蛋白の多重染色を行い、損傷脳におけるターゲットの発現分布を観察する予定である。また、並行してTBI後の脳組織からマクロファージとミクログリアの分離と活性化の測定を行う。マグネティックビーズによるソーティングでマクロファージはHigh CD45 high CD11b/cの細胞、ミクログリアはlow CD45 high CD11b/cの細胞として分離する。また、フローサイトメーターを用いてマクロファージとミクログリアの活性化マーカーの発現を測定する。
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