研究課題/領域番号 |
21H03035
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
坂本 多穂 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (80433150)
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研究分担者 |
黒川 洵子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40396982)
松田 直之 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50332466)
高林 秀次 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (70372521)
永森 收志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90467572)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 敗血症 / 骨格筋 / 心筋 / ICU-AW / 不整脈 / 性差 / 性ホルモン / 性染色体 |
研究実績の概要 |
敗血症の生存率そして不整脈における性差の分子メカニズム解明をめざした研究を進展させている。 骨格筋炎症反応が敗血症性差に重要であるとの先行研究から、性転換マウス敗血症モデルの骨格筋組織における網羅的遺伝子発現解析により性差遺伝子候補を探索している。今年度(令和5年度)は、昨年度までの解析で見出した候補遺伝子Prg4の欠損マウスにおける敗血症症状の解析とともに、Prg4の性差特異的発現制御の分子機構の解析を中心に行った。Prg4欠損マウスは野生型マウスと比較して発育遅延、低体温、自発運動の低下が表現型としてみとめられる。このマウスに盲腸結紮穿孔(CLP)により敗血症を発症させると、野生型よりも生存率が低下する傾向がみられた。この結果はPrg4が敗血症症状の重要な因子であることを示唆している。Prg4はメスマウスにおいて多く発現する機構について骨格筋培養細胞をもちいて解析したところ、女性ホルモンによる転写因子FOXO1活性化が制御機構であることが明らかになった。 これら研究と並行して、不整脈性差の解析も進めている。CLP敗血症を発症させた性転換マウスにて心電図QT間隔延長をみとめたが、この症状に性差は見出されなかった。また、心筋を対象として網羅的遺伝子発現解析においても性差遺伝子は見出されなかった。これらのことから、性差研究の対象として今後は骨格筋に絞ることが重要だと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまでの研究で見出した性差遺伝子候補の欠損マウスにおいて顕著な変化が認められ。研究はゴールに向けて順調に進んでいる。また、性差遺伝子の制御機構についても詳細な知見を得ることにも成功した。ここまでの成果を論文発表するにあたり、より例数を増やし、次の研究プロジェクトに向けた展望を得つつある状況であることは理由である。
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今後の研究の推進方策 |
敗血症性差遺伝子候補Prg4に関するここまでの研究の精度、例数を高めるとともに、個体におけるPrg4発現制御機構を解明することで、敗血症症状の個体差、病状の層別化につながる研究を行う予定である。
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