研究課題/領域番号 |
21H03052
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
河村 真吾 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (30456511)
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研究分担者 |
平川 明弘 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (50422720)
秋山 治彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60402830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腱再生 / PI3K/Aktシグナル |
研究実績の概要 |
若齢マウスの腱再生における、PI3K/Aktシグナルの役割を腱細胞(Scx陽性細胞)と腱鞘滑膜細胞(Tppp3陽性細胞)の各々において解析した。その結果、in vitro、in vivo双方にて、PI3K/Aktシグナルは細胞の遊走、増殖と幹細胞性に関与していることが明らかとなった。本内容は現在論文投稿中(revise中)である。 研究費申請時の計画通り若齢マウスと高齢マウスにおいて、PI3K/Aktシグナルの活性を調節するmiRNAの同定を試みたが、検出できなかった。高齢マウスにおけるPI3K/Aktシグナル活性化による腱再生能向上を評価すべく、腱細胞(Scx陽性細胞)、腱鞘滑膜細胞(Tppp3陽性細胞)、筋線維芽細胞(SMA陽性細胞)特異的Cre誘導マウスとPI3K/Aktシグナルコンディショナル活性化マウス(Ptenflox)を交配し、腱再生を評価した。その結果、SMA陽性細胞においてPI3K/Aktシグナル活性化することでコントロール群に対して腱損傷後1ヶ月時の腱再生が向上した。しかし、腱損傷後3ヶ月ではむしろ腱再生(リモデリング)が低下していた。この結果、腱再生においてPI3K/Aktシグナル活性はダイナミックに変化しており、損傷後早期phaseでの活性化、後期phaseでの抑制が再生を促進することが示唆された。その過程でSMA陽性細胞とM2マクロファージの細胞間応答が著名に変化することが判明した。つまり組織損傷後の再生において、M2マクロファージを制御することで、組織再生をコントロールできる可能性が示唆されたため、M2マクロファージ特異的CreマウスであるMrc1-CreERT2を導入し、Rosa26-stop-DTRマウスと交配することで、組織回復過程でM2マクロファージを除去した。現在、M2マクロファージ除去による組織再生の変化を解析中である。また、PI3K/Aktシグナル活性を変化させた間質細胞における遺伝子発現をRNAシークエンス法で解析し、M2マクロファージ誘導に関わる因子を同定する方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・PI3k/Aktシグナルを制御する上流制御機構の解明に着手したが、PI3K/Aktシグナルの活性を調節するmiRNAの同定を試みたが、検出できなかった。 ・PI3k/Aktシグナルによって制御させる再生促進機構として、新たに免疫細胞との細胞間応答機構の存在を同定したが、新たな遺伝子改変マウスを入手、作製する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
組織損傷後の再生において、M2マクロファージを制御することで、組織再生をコントロールできる可能性が示唆されたため、M2マクロファージ特異的CreマウスであるMrc1-CreERT2を導入し、Rosa26-stop-DTRマウスと交配することで、組織回復過程でM2マクロファージを除去した。現在、M2マクロファージ除去による組織再生の変化を解析中である。また、PI3K/Aktシグナル活性を変化させた間質細胞における遺伝子発現をRNAシークエンス法で解析し、M2マクロファージ誘導に関わる因子を同定する方針である。
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