研究課題
1. マーモセットの雌性生殖器内の細菌叢とエクソソームの解析マーモセットの採卵(開腹手術)の際に、無菌的に左右卵管、子宮体部、子宮頸管をそれぞれ穿刺し、少量の培養液を注入後すぐに吸引して内腔の洗浄液を回収した。遠心後沈渣は細菌叢の解析に供し、上清は(マイクロ)エクソソームの解析に供した。DNA抽出後全ゲノム増幅を試みたが、予備実験として行った5体のサンプルのうち、1個体からはDNAが増幅されず、4個体から十分なDNA量が増幅され、NGSを用いた16S rRNA遺伝子シークエンスに供した。その結果、2個体からは細菌を検出することはできなかったが、2個体からは、属(genus)レベルでの相同性検索によりStreptococcusが共通して検出された。1個体では左右の卵管でPseudomonas、Rithia、Lactobacillus、子宮ではSporomusaなども検出された。4.および5. ヒト胚盤胞培養に使用した後の培養液のEMVとART臨床データの解析顕微授精後に1個の受精卵を30-ul dropに入れ、培養液を交換せず培養して形態良好胚盤胞が得られた場合に、使用済み培養液を回収し、胚それぞれについて凍結保存した(~25 ul)。胚を入れず同様に培養したコントロール培養液も凍結保存した。RNA-seqによる網羅的解析の結果、胚を入れた培養液では、胚を入れないコントロール培養液に比べて多数のmiRNAの濃度が有意に高かった。次に、その後移植され妊娠に至った胚が由来する培養液群(妊娠群)、妊娠に至らなかった胚の由来する培養液(非妊娠群)、胚を入れないコントロール培養液についてmiRNA網羅的解析を行い、各群に特異的なmiRNAを抽出した。さらに、サンプルをプールしないで、それぞれの胚の培養液(~25ul)中の miRNA発現量についてリアルタイムqPCRを用いて解析した。
3: やや遅れている
再生医療等委員会の承認、臨床サンプルの収集と保存方法の確定、さらに臨床経過を追跡しその後の妊娠の有無の検討などに時間を要している。
1. マーモセットの雌性生殖器内の細菌叢とエクソソームの解析今後は、雌性生殖器腔内へPOM培養液を穿刺注入後に回収した洗浄液の遠心後沈渣を用いて、少なくとも10個体について細菌叢解析を進める。洗浄液の上清サンプルからは、さらなる遠心分離でエクソソームを抽出し、テトラスパニンの量的質的解析、内容物(microRNA、タンパクなど)の解析などを行う予定である。また、マーモセットの胚採取(経膣子宮内洗浄)が行われる際にも、子宮内膜細胞が回収できればエクソソームの解析サンプルとし、さらに子宮内膜組織片が得られれば上皮細胞からのエクソソーム分泌像を得るために電顕標本作製などを行う予定である。4.および5. ヒト胚盤胞培養に使用した後の培養液のEMV解析とART臨床データの解析子宮に着床障害の原因となる器質的疾患がない症例において、顕微授精が施行された場合、受精卵を30ul培養液ドロップに1個ずつ入れてタイムラプス培養器内で形態良好胚盤胞に至った場合に培養液を回収した。small RNAを抽出し網羅的miRNA解析に供した。胚移植後に妊娠に至った群と至らなかった群を比較し、胚盤胞の質的マーカー(妊娠予後マーカー)として有用なmiRNAを見出し、次年度中に論文に纏める予定である。今後はさらに胚盤胞由来エクソソームと子宮内膜由来エクソソームを包括的に研究することにより、胚側・子宮側着床因子の機能解明、さらには反復着床不全の治療法開発に繋げたいと考えている。8. ヒト濃厚血小板血漿(PRP)のEMV解析PRPに含まれるエクソソームの解析、さらにCD9欠損マウスの産後子宮内癒着がPRPあるいはPFC-FDの投与により予防できるかについても検討したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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