研究課題
・計画概要の1. マーモセットの雌性生殖器内の細菌叢とエクソソームの解析マーモセット子宮内の着床前期胚を膣から上行性に回収する操作の際に得られる子宮内膜組織片をサンプルとしたところ、21検体全てから16S rRNA遺伝子細菌叢の結果が得られた。さらに13検体を加え、現在解析結果について論文作成中である。・計画概要の4. および5. ヒト胚盤胞培養に使用した後の培養液のEMV解析とART臨床データの解析顕微授精後に1個の受精卵を30-ul dropに入れ、培養液を交換せず培養して形態良好胚盤胞が得られた場合に、使用済み培養液を回収し、胚それぞれについて凍結保存した(~25 ul)。その後移植され妊娠に至った胚が由来する培養液群(妊娠群)、妊娠に至らなかった胚の由来する培養液(非妊娠群)、胚を入れないコントロール培養液についてmiRNA網羅的解析を行い、各群に特異的なmiRNAを抽出した。さらに、サンプルをプールしないで、それぞれの胚の培養液中の miRNA発現量についてリアルタイムqPCRを用いて解析した。その結果、培養液中の5つのmiRNAの発現量に注目することで、その胚を胚移植した場合に妊娠する可能性を予測できることが明らかとなった (Kamijo S, Hamatani T, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2022)。・計画概要の9. および11. ヒト間葉系幹細胞(hMSC)培養上清がヒト子宮内膜培養細胞に与える影響脂肪組織由来あるいは月経血由来のhMSCを無血清培地で培養し、上清をヒト子宮内膜上皮細胞あるいはヒト子宮内膜上皮細胞に添加し、増殖速度、スクラッチテスト、上皮間葉転換、脱落膜化能に対する影響を評価した。また、CD9ノックアウトマウスの子宮性続発性不妊症あるいはβカテニンノックアウトマウス胚の着床不全をレスキューできるか検討中であり、これらの結果を2024年度中に論文発表予定である。
3: やや遅れている
再生医療等委員会の承認(多血小板血漿、間葉系幹細胞)、臨床サンプルの収集、エクソソーム保存および解析の方法の検討、さらに、マーモセットの雌性生殖器管内細菌叢の解析法の最適化などに時間を要したため。
・計画概要の1. マーモセットの雌性生殖器内の細菌叢とエクソソームの解析今後は、マーモセット開腹術時に雌性生殖器腔内へPOM培養液を穿刺注入後に回収した洗浄液の遠心後沈渣を用いて、細菌叢解析を引き続き進める。洗浄液の上清サンプルからは、さらなる遠心分離でエクソソームを抽出し、テトラスパニンの量的質的解析、内容物(microRNA、タンパクなど)の解析などを進める。また、マーモセットの子宮内膜組織を用いた16S rRNA遺伝子細菌叢解析について結果を纏める。子宮内膜組織片を用いて、上皮細胞からのエクソソーム分泌像を得るために電顕標本作製なども行う予定である。・計画概要の9. および11. ヒト間葉系幹細胞(hMSC)培養上清あるいは多血小板血漿がヒト子宮内膜培養細胞あるいは卵巣発育に与える影響ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞、ヒト月経血由来間葉系幹細胞を無血清培地で培養し、上清をヒト子宮内膜上皮細胞あるいはヒト子宮内膜上皮細胞に添加し、増殖速度、スクラッチテスト、上皮間葉転換、脱落膜化能に対する影響について、種々の間葉系幹細胞、子宮内膜細胞を用いてさらに評価する。また、CD9ノックアウトマウスの続発性(2仔目)不妊症(子宮性不妊症)やβカテニンノックアウトマウス胚の着床不全をレスキューできる可能性とその分子機構についても結果を纏めて、論文発表する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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