研究課題/領域番号 |
21H03097
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
二木 陽子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (30342819)
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研究分担者 |
大西 暁士 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (70569102)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / アネルギー / ペプチド / 治療薬開発 |
研究実績の概要 |
Vogt-小柳-原田病ぶどう膜炎などの自己免疫疾患は、免疫抑制薬による対処療法が主な治療法であり、全身的な副作用が問題となる。自己免疫疾患の多くは原因 不明の慢性疾患であるが、本研究では人体が元来持つ免疫抑制の仕組みであるアネルギーを人為的に誘導することにより、安全で効果持続性のある治療薬の開発を目的とする。変異抗原ペプチドによる人為的なアネルギー誘導の効果は2003年に動物モデルで実験的に示されたが、いまだ臨床応用に至っていない。本研究で は自己免疫疾患ドナー由来リンパ球をもちいたインビトロ試験系を確立し、臨床応用可能なペプチド治療薬の開発を目指す。22年度までに、健常者リンパ球をもちいて既知の抗原ペプチド配列(HLA-A24に対するサイトメガロウイルス抗原)に1アミノ酸の変異を人為的に加えることでアネルギーを誘導するインビトロの系を構築したが、昨年度はその系をもちいて検体数および対象とするHLA型を増やし(HLA-A24に加えてHLA-A2に対するサイトメガロウイルス抗原も対象にした)、本手法の汎用性を検討した。その結果、同一ドナーのリンパ球をもちいてもアネルギーが誘導されるかどうかにクローン間で差があったことから、アネルギー誘導は確率論的な現象であり、微小培養環境の制御を受けることが推察された。そこで23年度終盤に、アネルギー誘導を実施したリンパ球とそうでないリンパ球を比較するためのシングルセル解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はアネルギー誘導が確率論的な現象であることを示唆する実験結果を得ることができ、機序を解明する目的でシングルセル解析を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度開始したアネルギー誘導細胞のシングルセル解析の結果を検討し、またそれに加えて、蛋白質の構造解析ソフトウエアを導入して抗原ペプチドの1アミノ酸変異がHLAと抗原の複合体に与える構造的な影響を検討することにより、抗原の1アミノ酸変異によるアネルギー誘導の機序に迫りたいと考える。機序を明らかにすることにより、汎用性のあるアネルギー誘導手法の確立を目指す。本年度が本研究課題の最終年度であり、得られた成果を論文発表できるよう尽力したい。
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