研究課題/領域番号 |
21H03106
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉田 竜介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60380705)
|
研究分担者 |
美藤 純弘 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20240872)
樽野 陽幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20706824)
池亀 美華 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70282986)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 味覚 / 味細胞 / シナプス / 伝達物質 / 味神経 / 遺伝子改変マウス |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究で用いる以下の遺伝子改変マウスを作成した。(1)味蕾においてGABA合成酵素であるGAD67を欠損するマウス(K5-Cre;GAD67-flox)、(2)味蕾においてGABA合成酵素であるGAD67を欠損しGFPを発現するマウス(K5-Cre;GAD67-GFP/flox)、(3)味蕾においてシナプス関連遺伝子SNAP25を欠損するマウス(K5-Cre;SNAP25-flox)、(4)味蕾内でIII型細胞のみで発現する遺伝子を欠損するマウス2種(TypeIII-A-KO、TypeIII-B-KO)。今後、(3)または(4)かつGAD67-GFPを発現するマウス、(1)~(4)かつTRPV1を欠損するマウスを順次作成する予定である。また、K5-Creの味蕾での発現を確認するため、GAD67-GFPを発現し、K5発現細胞でtomatoの発現を誘導するマウス(K5-Cre;ROSA26-tomato;GAD67-GFP)を作成し、GAD67発現細胞(III型細胞)を含む味蕾細胞でK5-Creが発現することを確認した。さらに免疫組織化学的実験により、(2)のマウスにおいて味蕾内GFP発現細胞でGAD67発現が消失し、他の味細胞マーカー遺伝子の発現は変化しないことを確認した。 次に、これらマウスを作成するために用いた各種遺伝子改変マウス(K5-Cre、GAD67-flox、SNAP25-flox、TRPV1-KO)の味覚行動応答について短時間リック法にて調べた。その結果、これらのマウスは各種味溶液(ショ糖、キニーネ、NaCl、グルタミン酸ナトリウム、HCl、クエン酸など)に対し野生型マウスとほぼ同様の応答を示すことを確認した。ただし、TRPV1-KOマウスに関してはカプサイシンに対する忌避反応が減弱していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的を達成するために必要となるマウスは多重遺伝子改変マウスとなり、その作成に時間を要するが、現在のところ順調にマウス作成を進められている。また、各種遺伝子改変マウスの行動応答実験についても順調にデータを取得している。一部は組織学的解析を開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、マウスを順調に掛け合わせ、来年度には必要となるマウスの少なくとも親までは作成する予定である。これらマウスを繁殖により増やし数を確保したうえで、組織学的実験、行動学的実験を進める。また、すでに作成したマウスについては味神経応答記録も予定している。現在のところ研究遂行に特段問題点はない。
|