研究課題/領域番号 |
21H03111
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
寺町 順平 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20515986)
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研究分担者 |
原田 武志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10618359)
沢 禎彦 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70271666)
安倍 正博 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80263812)
日浅 雅博 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (90511337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CIP2A / 脱リン酸化 / 骨髄腫 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、腫瘍細胞内あるいは腫瘍微小環境側の破骨細胞や骨髄間質細胞での様々な細胞内情報伝達系の恒常的な活性化機構の解明を目的としている。申請者は、セリン、スレオニンフォスファターゼであるPP2Aの内因性阻害因子であるCIP2Aに着目し、CIP2AによるPP2A活性の低下が腫瘍進展や骨病変形成に関わっていることを見出した。今年度は、以下の結果を見出した。 ① 共同研究先である徳島大学医学部血液・内分泌代謝内科学分野で、CIP2Aの発現レベルを患者検体から作成した組織アレイを用いて染色を行った。その結果、患者骨髄腫細胞はCIP2Aを高発現していることが明らかとなった。② 腫瘍細胞内のCIP2Aの発現制御にはTAK1が関わっていることが明らかとなった。in vivoにおいても、担癌マウスにTAK1阻害剤を投与したところ、腫瘍細胞のCIP2A発現レベルが減弱した。③ 破骨細胞において、RANKLはCIP2Aの転写因子であるELK1のリン酸化を惹起し、CIP2Aの発現を誘導することが明らかとなった。また、CIP2Aの抑制は破骨細胞分化を顕著に抑制したことから、CIP2Aは破骨細胞分化に重要な役割を演じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍細胞内のCIP2Aに役割については、ほぼ研究計画通り良好な結果を得ており、論文も1報報告した。現在、腫瘍細胞におけるCIP2Aの発現制御や環境側細胞からの発現誘導メカニズムについても解析を行っている。また、CIP2Ano骨髄腫骨代謝における役割についても解析が進んでおり、これらの結果をまとめて2023年度中に論文を投稿する予定である。よって、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、骨髄腫骨代謝におけるCIP2Aの役割を中心に形跡していく。具体的には、骨髄腫細胞の共存および骨髄腫における骨芽細胞分化抑制因子として報告されている因子(DKK-1, sFRP-2, sclerostinなどのWnt阻害因子、TNF-α、activinA、TGF-β、IL-7など)の添加による、単離骨髄間質細胞や前骨芽細胞株MC3T3-E1におけるPP2Aの活性およびCIP2Aの発現レベルの変化を調べ、骨髄間質細胞でのPP2Aの活性化、CIP2Aの発現誘導の分子機序を解析する。さらに、CIP2A抑制によるPP2Aの活性回復・誘導が骨芽細胞分化を回復・促進されれか検討し、その分子機序について、骨芽細胞分化促進に関わる主要なシグナル経路であるWnt/βcatenin経路やBMP経路および、骨芽細胞分化阻害に関わるTNF-α経路やTGF-β経路に及ぼす影響を解析する。破骨細胞についても、破骨細胞分化におけるPP2A活性およびCIP2Aの発現とTAK1-NF-κB経路を指標にCIP2Aの破骨細胞分化の主要なシグナル経路に及ぼす影響を明らかにする。
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