研究課題/領域番号 |
21H03119
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 直史 岡山大学, 大学病院, 教授 (50432662)
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研究分担者 |
江口 傑徳 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (20457229)
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 研究教授 (40550314)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50226768)
江國 大輔 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70346443)
井手口 英隆 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80779421)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / 侵襲性歯周炎 / マイクロRNA / プロテオーム |
研究実績の概要 |
侵襲性歯周炎(Aggressive periodontitis:AgP)は全身的には健康な若年者に発症し,急速に進行する特殊な歯周炎であるが、その発症病態は不明なままである。本研究では,臓器特異的な作用(臓器トロピズム)が近年注目されている血中の細胞外小胞(EV)とAgPの病態関与の可能性を調べた。 昨年度、AgP患者6名と健常者3名の初診時血中EVから,AgPで高発現するmiRNAをRNAシーケンスにて調べ、マーカー候補を同定した。今年度は、それらのmiRNA mimicを歯周炎モデルマウスに遺伝子導入し、炎症メカニズムを調べた。誘導された炎症性サイトカインの発現量をリアルタイムPCR法にて測定し,歯槽骨吸収量をマイクロCTにて調べた。 マーカ候補の5種のmiRNAとmiR-181b-5pをマウス歯肉組織に導入するとに導入すると,IL-6とIL-1βの産生が増加した。とりわけ,miR-181b-5p を歯肉組織に導入すると、M1マクロファージやTh1とTh17細胞が増加し,歯槽骨吸収が進行した。 すなわち、AgP患者の血中EVには診断マーカー候補となるmiRNAが多く発現しており,miR-181b-5pはIL-6とIL-1β発現を伴う炎症を助長することによってAgPを重症化する可能性が示された。 さらに、EVが内包する炎症性miRNAが歯周組織に到達するメカニズムに,血中EVの特異表面蛋白を介した臓器指向性が関与するとの仮説の下、EVのプロテオーム解析を行った。昨年度までに検証した様々なEV抽出方法と前処理法の結果を元にプロトコルを確立し、まずは健常者血中のEVのプロテオーム解析を行ったところ、多くのEVマーカーを含む2844蛋白質が同定・定量された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マーカ候補のmiRNAをマウス歯肉組織に導入することによる免疫細胞プロファイルの変化を、フローサイトメトリーにて調べる条件設定に時間を要したため。 さらに,EV蛋白への血液蛋白の混入を極力減らすために、EVの精製方法やプロテオーム解析の前処理と解析条件に関して,様々なパターンを試したため時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,バイオマーカー候補のmiRNAsを歯周病モデルマウスの歯肉組織に注入し,骨吸収状態と歯周組織中のmRNA・蛋白質の発現変動を調べる。 また,In silico解析によって,マーカー候補miRNAsのターゲット遺伝子群を抽出し,炎症制御メカニズムを調べる。 また、プロテオーム解析の条件確立後に,AgP患者のEV関連蛋白の網羅的解析を行う。
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