研究課題/領域番号 |
21H03135
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40455796)
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研究分担者 |
中井 淳一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (80237198)
小山内 実 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90286419)
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔顔面痛 / 脳機能イメージング / qAIM-MRI |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛は、末梢神経の炎症や傷害を契機として侵害情報伝達経路が持続的な可塑的変化を起こすことで生じる難治性疼痛である。一旦、中枢神経系に可塑的変化が生じると、鎮痛薬や神経ブロック療法が奏功し難くなり難治化するだけでなく、情動を司る中枢領域にも可塑的変化をきたし、抑うつや不安亢進といった情動変容が生じると考えられる。しかし、神経障害性疼痛に随伴する情動変容に上位中枢のどの脳領域が関与するのか、またどのような機序で情動変容が生じるかは不明であり、治療法を開発する上での壁になっている。本研究は、マルチスケール脳機能イメージングで上位中枢の神経活動を可視化し、神経障害性疼痛に随伴する情動変容の機序を解明するものである。 本年度は、篠田雅路教授が確立した低侵襲に眼窩下神経結紮モデルを作成する方法を東北大学でも安定して作成できる体制を確立した。次いで、神経障害性疼痛の難治化に関与する上位中枢の神経活動を可視化するため、ラットの全脳レベルでの脳神経活動の履歴をMRIで捉える手法である定量的活動依存性マンガン造影MRI(qAIM-MRI)の撮像条件設定を行った。動物用MRIは実験計画立案当初は東北大学医学系研究科共通機器室の小動物用MRIを使用予定であったが、動物実験施設の改修工事により使用不可となったため、川島隆太教授(東北大学加齢医学研究所)の協力を得て、小動物用7T-MRI装置を使用することとし、新たにラット脳の撮影条件設定を行った。ラットを眼窩下神経結紮手術前1週、手術後1週、及び手術後3週にMRIを撮像するプロトコルを組み、それぞれの撮像日の24時間もしくは48時間前に塩化マンガンを腹腔内投与し、撮像した画像を比較検討した。その結果、当該モデルラットにおいて、MRI撮像48時間前に塩化マンガンを腹腔内投与するプロトコールが最も適していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症流行による出張制限により、共同研究機関との往来に制限が生じ、研究遂行に遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
塩化マンガンの腹腔内投与48時間後に、眼窩下神経結紮モデルラットとsham群ラットに対して、全身麻酔下でMRIによる全脳イメージングを行い、口腔領域の神経障害性疼痛の病態と相関した神経活動変化を呈する脳領域を同定する。MRI撮影は眼窩下神経結紮手術前1週、手術後1週、及び手術後3週に実施する。また飼育期間全般にわたり、von Frey testによる口腔顔面痛評価を行い、MRI撮影データとの相関性を評価する。この全脳イメージングでは、口腔領域の疼痛受容を司る三叉神経脊髄路核や大脳皮質体性感覚野の他に、情動を司る脳領域や海馬、視床における神経活動が変化すると考えている。
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