研究課題
前年度までに取得した、Ihh遺伝子の上流およそ80 kbにわたって存在する5つのエンハンサー候補領域(エンハンサーA~E)について生理的・病的状態におけるエンハンサー活性の検証を行った。(1)各エンハンサーによってルシフェラーゼ遺伝子の発現が誘導されるレポーターコンストラクトを作製し、マウス初代軟骨細胞やマウス・ヒト軟骨系細胞株(ATDC5、SW1353)に導入してレポーター発現を指標にエンハンサー活性を検討した。その結果、複数の領域についてエンハンサー活性を確認した。いくつかの領域については、タンデムコンストラクトにおいてコピー数依存性に活性の上昇を認めた。(2)各エンハンサーによってlacZ遺伝子の発現が誘導されるレポーターを導入したトランスジェニックマウスを作出した。X-gal染色によってレポーター発現を検出し、エンハンサー活性とその組織特異性を検討した。その結果、エンハンサーAおよびCで骨組織特異的な活性を認めた。エンハンサーAは骨発生過程の中期より活性を示し、長管骨におけるその活性化領域はIhh mRNA発現領域とほぼ一致していた。一方、エンハンサーCは骨発生過程の初期に活性を示した。エンハンサーAとエンハンサーCについてはレポータートランスジェニックマウスをライン化し、次項の解析に用いた。(3)エンハンサーAを中心に、レポータートランスジェニックマウスの病態モデルにおける活性を検討した。その結果、エンハンサーAのレポータートランスジェニックマウスを用いて変形性膝関節症モデルを作製すると、軟骨組織の変性に一致してエンハンサー活性を認めることが明らかとなった。その他の病態モデル、およびエンハンサーCのレポータートランスジェニックマウスについては検討が進行中である。
2: おおむね順調に進展している
当初計画通りに、前年度までに取得したエンハンサー候補領域のエンハンサー活性をin vitroおよびin vivoの生理的状態・病態モデルにおいて検証できたため。
エンハンサー候補領域の生物学的意義、活性化機構、活性調節因子の探索について、当初計画に沿って研究を遂行する。
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