研究課題/領域番号 |
21H03147
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
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研究分担者 |
望月 真衣 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (90821934)
小林 朋子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10548283)
相良 洋 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50145041)
中島 慎太郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40817095)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歯の再生 / バイオ再生歯根 / 再生歯インプラント / 歯髄幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 自己多層化 / 細胞シート / 無血清培養 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来の歯科インプラント治療で使用されているチタン製人工歯根に代わり、歯周組織を備えた細胞・組織からなる“バイオ再生歯根”の創製を目的とする。すなわち、我々が開発した体外培養による歯根・歯周組織ユニットの器官再生を可能とする新規培養システム「器官再生法」を駆使し、同ユニットの再生能を有する歯性細胞群「Regenerative(Reg)細胞群」によるバイオ再生歯根の体外再生法の開発、およびReg細胞群が担う再生誘導因子の特定によるバイオ再生歯根の再生誘導医薬を創出する。したがって本研究は、普遍的な器官再生法の確立と新規再生医療となる再生誘導医薬の創出により、真に臨床応用できる歯の再生、すなわち『再生歯インプラント』の実現を最終目標とした基盤研究である。 現在までに、無血清培養下で分離培養した歯髄由来細胞について、細胞増殖能、表面抗原、多分化能を評価するin vitro実験、および細胞移植によるin vivo実験によって歯髄由来細胞が間葉系幹細胞(MSC)特性を有することを確認した。さらに我々は、細胞増殖評価を通じて、持続的に増殖を続けながら自律的に多層化し、三次元構造を有する細胞シートを形成する歯髄幹細胞のユニークな能力を突き止め、Reg細胞群の候補となりうる新知見を得た。したがって我々は、“自己多層化”を誘導して三次元細胞シートを形成する新たな培養法を確立することによって、新規細胞シート技術として新たな再生医療を創出しうる可能性を見出した。 今後は、自己多層化を効果的に誘導する新規培養技術の開発を行い、さらに自己多層化細胞シートを詳細に解析し、歯髄幹細胞が有する自己多層化能の分子メカニズムを解明する。これらの研究実績により、器官再生法による歯根・歯周組織ユニットの体外再生に資するReg細胞群の分離・同定とその臨床応用法の開発を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は、歯髄由来の歯性幹細胞の特性評価によって、歯根・歯周組織ユニットの器官再生能を有するReg細胞群の候補細胞集団の分離・同定を試みた。治療抜歯された智歯の歯髄を細切した組織片をコラゲナーゼ/ディスパーゼの混合液で処理して細胞を解離し、ウシ胎仔血清(FBS)フリーとなる無血清培養下でI型コラーゲンを塗布した培養皿を用いて初代培養を行った。細胞は無血清培養下でも順調に増殖を続け、継代培養を行った後にMSC特性の評価を行った。 MSC特性評価は、細胞増殖評価、表面抗原解析、骨芽細胞と脂肪細胞への多分化誘導実験によるin vitro実験、ならびに細胞と骨補填材を混合して免疫不全動物に移植することで硬組織形成能を評価するin vivo実験を行い、in vitro/in vivoの両者からReg細胞群としての特性評価に努めた。 In vitro実験では、フローサイトメーターを用いた表面抗原解析により、MSCマーカーで知られるCD29, CD44, CD73, CD90, CD105陽性、CD14, CD34陰性の細胞集団であることを確認した。多分化誘導実験では、所定の培養期間が経過した骨分化誘導による石灰化物、ならびに脂肪分化誘導による脂肪滴の存在をそれぞれ確認した。並行して、ヌードマウスの背部皮下に細胞と骨補填材を混合して移植することで、顕著な新生硬組織の形成を認めた。また、細胞播種後20日目まで培養した細胞増殖評価では、持続的に増殖を維持しながら自律的に多層化する歯髄幹細胞のユニークな特徴となる「自己多層化能」を明らかにした。 以上の結果から、自己多層化能を有する高度なMSC特性を備えた歯髄幹細胞群の同定に成功し、Reg細胞群の候補細胞集団としての可能性を示唆した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、治療抜歯された抜去歯の歯髄組織を採取して、無血清培養による初代培養・継代培養を通じてMSC特性を有する細胞集団を分離・同定し、Reg細胞群の候補となりうる歯髄幹細胞群の樹立を継続して進める。そして、無血清培養において持続的に細胞増殖が維持され、かつ自律的に多層化する歯髄幹細胞の自己多層化能のメカニズムを明らかにすると共に、自己多層化によって形成される三次元細胞シートの新規培養技術の開発を行う。 これまでに、無血清培養下で分離した歯髄由来細胞のMSC特性について、細胞増殖能、表面抗原、多分化能を評価するin vitro実験、および細胞移植によるin vivo実験によって、分離した歯髄由来細胞がMSC特性を有する歯髄幹細胞であることを明らかにした。さらに細胞増殖評価を行うなかで、細胞が持続的に増殖を続けながら自律的に多層化し、三次元構造を有する細胞シートを形成する歯髄幹細胞のユニークな能力を突き止めた。したがって、「自己多層化」を誘導して三次元細胞シートを形成する新たな培養法を確立することによって、新規細胞シート技術として医療応用できる可能性を見出した。 以上の知見に基づき、自己多層化を効果的に誘導できる培養法を確立するため、三次元構造を有する細胞シートの形成条件の最適化を図ることで新規培養技術の開発を行う。次に、最適化条件で形成された自己多層化細胞シートを詳細に解析して細胞内シグナルを同定することで、自己多層化能の分子メカニズムの解明を目指す。
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