研究課題/領域番号 |
21H03153
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
山本 龍生 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20252984)
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研究分担者 |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
相田 潤 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80463777)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / 認知度 / 地域差 / 環境要因 / 高齢者 / 口腔機能 / 口腔機能低下 |
研究実績の概要 |
口腔機能低下に対して警鐘を鳴らすためにオーラルフレイル(OF)が提唱されたが、国民運動には至っていない。本研究の目的は、OFを国民に周知し、予防・改善のために介入できる地域の環境要因を特定することである。2021年度は当初の計画通り以下を実施した。 2022年度に実施する質問紙調査に向けて、OFの認知度を明らかにするための質問項目を「あなたはOFを知っていますか」とし、回答肢は「よく知っている」、「名前は聞いたことがある」、「知らない」とした。 OF該当者を質問紙から推計するために、OFの臨床的変数を有する神奈川県のデータを用いて、OFの該当の有無を目的変数、性、年齢、咀嚼機能低下とむせの自覚および歯数を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い、推計式を作成した。この推計式を日本老年学的評価研究(JAGES)の既存横断データ(JAGES 2019年データ:61自治体の65歳以上の約17万人)に適用した。OF該当者は全対象者の26.1%であり、自治体におけるレンジは17.9~41.0%であった。目的変数をOFの有無、説明変数を個人の性、年齢、教育歴、所得、治療中の疾病、ソーシャル・キャピタル(SC)、中学校区のSCおよび自治体の都市度としたマルチレベルポアソン回帰分析の結果、中学校区におけるSCの高い地域ほど、そして大都市部ほどOF該当のリスクが低いことが示された。 JAGES2019年データにある某市の5,036名(9行政区、61中学校区)を抽出し、OF該当者を推計したところは全対象者の21.8%であり、行政区におけるレンジは19.8~24.2%であった。目的変数をOFの有無、説明変数を対象者個人の性別、年齢、教育歴、所得、治療中の疾病無、SC、中学校区におけるSCとしたマルチレベルポアソン回帰分析の結果、中学校区におけるSCとOFの該当の有無とは有意な関連は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定された計画通り、質問項目の検討と分析が終了したことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①オーラルフレイル(OF)の認知度に関する研究(某市):2022年度は、某市の高齢者を対象として、2021年度に決定した質問によって調査をする。調査会社に依頼して調査票を送付・回収し、データの入力とクリーニングを行う。このデータを用いて、2023年度にOFの認知に関連する地域の環境要因を明らかにする。2024年度はOFの認知とOFの該当との関係、およびその関係への地域の環境要因の関与を検討する。 ②OFの該当者に関する研究(全国):2022年度は日本老年学的評価研究(JAGES)の実施した2010-2011年、2013-2014年、2016-2017年および2019年の繰り返し横断データを用いて、2021年度に完成した推計式でOF該当者率の経年変化の地域差を検討する。2023年度は、JAGES2010-2011年-2013-2014年-2016-2017年の3時点パネルデータを用いて、地域の環境要因が、OFへの該当の変化に与える影響を検討する。また、JAGESの2019年と2022年のデータからパネルデータを作成する。このパネルデータを用いて、2024年度に、OFへの該当の変化に関連する地域の環境要因を明らかにする。 ③OFの該当者に関する研究(某市):2022年度は、2021年度に決定したOF該当者を推計するための質問を入れた調査票によって、①と同様に調査を行う。2023年度は、2022年度②の4時点繰り返し横断データを用いて、某市におけるOF該当者率の地域差の変化とOFへの該当に関連する地域の環境要因を明らかにする。2024年度は、2023年度②で作成したJAGES2019-2022年パネルデータの某市のデータを抽出して、OF該当者率の変化に関連する地域の環境要因を検討する。 これらの分析結果を踏まえて、地域の環境要因への介入によるOFの予防および改善の効果について総括する。
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