研究課題/領域番号 |
21H03158
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 大介 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10646996)
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研究分担者 |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
桑木 光太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (60425171)
野田 龍也 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70456549)
沼沢 祥行 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (90794561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 医療経済評価 / 医療情報学 / 医療経済学 / 臨床疫学 / パーキンソン病 / 潰瘍性大腸炎 |
研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は、難病患者の治療経過を辿る様々な公的データベースを用いて、制度や臨床的理由から複雑に格納されているデータ構造を紐解き、エビデンスを創出することにある。本研究は難治性疾患等についても持続可能で効率的な医療の提供を実現するために①慢性疼痛、②消化器疾患(潰瘍性大腸炎)、③神経疾患(パーキンソン病、遺伝性ジストニア、瀬川病)の難治性疾患の診療技術に対する医療経済分析方法を作成し、その妥当性を評価する。本研究は、上記の疾患と関連診療行為および医薬品等を対象にレセプト情報等データベースによる費用分析を実施し、標準的診療モデルおよび重症度評価ならびに医療機関分析による機会費用を明らかにし、医療経済学の観点から難治性疾患の評価のあり方について検討を行う。 本研究の進捗は、レセプト情報等データベースの申出が採択され、データ提供の最終調整段階まで進んだところである。対象データの期間は、2009年4月から2021年3月までの期間に診療を実施したレセプト情報データとし、患者情報(性別、年齢、傷病名、入退院年月日等 )のほか、診療行為名(検査、手術、処置等)およびその実施回数・量、診療行為実施日、処方医薬品名・数量・処方日等を用いることとした。 また、研究倫理審査申請中であり、第三者提供の申出を通じて承諾を受けたデータのうち、データ識別番号と照合した結果、十分な情報が得られなかった患者や、対象病院に2018年4月1日から2022年3月31日までの期間において医科保険を利用して受診した患者のうち、①医科保険を利用せず、自費診療を行った患者(妊婦の正常分娩等)、②その他、研究責任(分担)者が被験者として不適当と判断した患者を除外基準とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、レセプト情報等のデータ提供に採択され、順調に研究は進展している。厚生労働省によるデータ提出までの待機時間が予測できないため、当初計画以上の進展は難しい。 そこで、研究倫理審査申請書を通じて十分な検討を行っている。具体的には、パーキンソン病については、1)軽症患者と重症患者を含めたパーキンソン病患者の実数を集計・把握、2)難病患者一人当たり医療費,医療介護費と治療内容との関連性,死亡前医療費・医療介護費分析、3)医療費,医療介護費用それぞれの経年変化の分類する.骨折や誤嚥性肺炎に代表される急性合併症との関連の分析、4)LCIGとDBSの長期的な費用対効果分析、5)難病患者の健康状態の分類手法、生涯の医療介護費用の算出手法の開発,6)臨床調査個人票における住所地を二次医療圏レベルで把握し,通院医療機関との関係をマッピングし,通院実態を把握することとした。 また、潰瘍性大腸炎は1.潰瘍性大腸炎の基本的治療薬である5-ASAの処方量と患者数の年次推移や相関を明らかにする。2.医療費が高額になる「生物学的製剤」の治療実態(使用量)を明らかにする。3.潰瘍性大腸炎の年間手術件数を推計し、直前に行われた治療を明らかにする。4.(初回)治療法毎の累積手術率を算出し、手術に至るまでの医療費を比較する。5.難治例の治療としてステロイド治療のみが行われた場合と生物学的製剤が使用された場合との手術率や治療継続率、合併症のリスクを評価する。6.まれな感染症としてカリニ肺炎やサイトメガロウイルス腸炎等の発生率を算出するとした。 これらの研究倫理審査申請を作成することで、データ提出完了後、速やかに研究を進展させる準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、パーキンソン病および潰瘍性大腸炎の研究デザインに加え、下記の疾患に対する研究デザインを準備している。具体的には次の方策を用意している。 瀬川病については、1)軽症患者と重症患者を合計した、実際の難病患者数についての集計、2)新規治療(新規医薬品、新規手術治療)の長期的な有効性の評価(費用対効果分析)、3)難病患者の健康状態の分類手法、生涯の医療介護費用の算出手法の開発、4)難病患者一人当たりの医療介護費と治療内容との関連性分析、死亡前医療費分析を予定している。 また、多発性硬化症/視神経脊髄炎については、1)軽症患者と重症患者を合計した、実際の難病患者数についての集計,2)新規治療(新規医薬品、新規手術治療)の長期的な有効性の評価(費用対効果分析)3)難病患者の健康状態の分類手法、生涯の医療介護費用の算出手法の開発、4)難病患者一人当たりの医療介護費と治療内容との関連性分析、死亡前医療費分析を予定している。 上記の研究デザインを確定するとともに、レセプト情報等データベースのデータ分析手順を策定し、今後の研究を推進していく。
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