研究課題/領域番号 |
21H03202
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
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研究分担者 |
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60325363)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心拍変動 / 自律神経系機能 / 死亡リスク / 糖尿病 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本年度、本学の研究倫理委員会において当該研究の研究計画について申請を行い承認を得た。しかしながら、COVID-19による感染拡大防止の観点から、フィールドワーク等が制限された。そのため新たにデータを収集することができなかったが、既存のデータを整理し、2020年末までの死因について人口動態統計の目的外使用の申請を行い、循環器疾患死亡等に関する情報を収集した。 大洲コホートⅡを用いて心拍変動(HRV)と総死亡をエンドポイントとするコホート研究(3600人)の分析を行った。追跡期間中の死亡166人を認めた。安静時心拍数を60未満,60~69,70~79,80bpm以上の4群に分けて性年齢調整済み死亡率を算出したところ60~69bpmの群で最も低く,この群を基準とするとRRは60bpm未満で1.67倍(95%信頼区間1.10~2.56),80bpm以上で2.19倍(1.41~3.41)の有意な上昇を認めた。HRVマーカのうちSDNN (Standard Deviation of the NN interval)の四分位別(Q1[低]~Q4[高])死亡率とRRを同様に算出した。Q3を基準とするQ1とQ4の性年齢調整済みRRはそれぞれ1.76倍(1.10~2.82),1.55倍(0.95~2.51)であった。Q1のRRの上昇は多変量調整後も有意であった。HRVのパラメータが低い場合、あるいは高い場合でも死亡リスクが上昇することが示唆され、これまでの欧米で観察されてきた結果とは異なっていた。これらの成績は、日本公衆衛生学会で報告を行った。 自律神経系機能を表すHRVが低い場合に死亡リスクが上昇することが日本人を対象とするコホート研究でも確認できた。さらに、HRVが高い場合は必ずしも健康に良いとは限らないことが本研究から明らかになったが、その原因については更なる分析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による感染拡大の影響を受け調査実施予定であったフィールド調査ができなかった。特に循環器疾患発症にかかる病院調査等を行う計画だったが、2022年度に予定を延長して実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続して本研究のコホート研究の運営を行っていきながら、循環器疾患発症との関連について社会心理学的因子を含めた分析を実施していく予定としている。
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