研究課題/領域番号 |
21H03202
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
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研究分担者 |
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60325363)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自律神経系機能 / 心拍変動 / コホート研究 / 生命予後 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会心理学的因子と2型糖尿病・循環器疾患発症との関連を明らかにすることを目的に実施している。本年度、大洲コホートⅡのベースラインから2020年末までの追跡調査を実施し、虚血性心疾患発症17名、虚血性心疾患死亡12名、脳卒中発症115名、脳卒中死亡17名、合計145名(重複あり)の新規循環器疾患発症を把握した。 東温コホートと大洲コホート研究を統合し、約6000人について自律神経系機能の指標となる心拍変動(HRV)の検査を行い、総死亡をアウトカムとする分析を行った。HRVは安静の後,座位にて5分間示指から脈波を解析し,安静時心拍数,ならびにR-R間隔に基づく時間領域分析と周波数領域のスペクトラム分析から指標を求めた。共変量としてBMI,高血圧,糖尿病,喫煙,飲酒,運動習慣,循環器疾患の既往を用いた。追跡はベースラインから2020年12月末まで実施した。HRVマーカのうちSDNN (Standard Deviation of the NN interval)の四分位別(Q1[低]~Q4[高])のハザード比(HR)を算出した。Q3を基準とするQ1とQ4の性年齢調整済みHRはそれぞれ約2倍程度上昇し、心拍変動と総死亡リスクはU字の関連の傾向を認めた。このことは、自律神経系機能の低下のみならず,高い状態においても総死亡リスクの上昇が示唆された。 社会心理学的因子のバイオマーカと健康アウトカムとの関連から、低値、あるいは高値は必ずしも好ましい状態ではなく、適正値が存在することが示唆された。次年度も追跡期間を延長し研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症が昨年5月より5類となりフィールド調査の制限がなくなった。研究全体の進捗は、概ね当初計画の通り進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、コホート研究の追跡期間を延長し更なるケースの確保を行い、分析結果をより確からしいものにする必要がある。また、本研究で得られた新たな知見の成果報告の為、論文の執筆を遂行していく計画である。
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