研究課題/領域番号 |
21H03220
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大貝 和裕 金沢大学, AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター(保), 准教授 (40706983)
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研究分担者 |
須釜 淳子 藤田医科大学, 保健衛生学部, 教授 (00203307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 失禁関連皮膚炎 / IAD / 細菌叢 / 真菌叢 / 次世代シークエンス |
研究実績の概要 |
本研究では、オムツ着用者に見られる失禁関連皮膚炎(IAD、いわゆる「オムツかぶれ」)の新たなリスクファクターとして皮膚細菌・真菌があるのではないかと考え、オムツを着用している高齢者の皮膚細菌・真菌叢(パターン)を詳細に分析し、IAD発症と関係する細菌・真菌を発見することを目的としている。また、「皮膚に残留し続ける病原菌」を排除することが、新たなIAD予防ケアとして有効であるかを明らかにすることも検討している。
本年度は、研究計画の前半、すなわち「IADの発生には、尿や便そのものの影響に加えて、通常の洗浄ケアでは排除しきれない残留細菌・真菌も関与しているのではないか」という問いを解決するための実態調査をスタートさせる予定であった。しかし、COVID-19の蔓延状況が好転せず、臨床での調査が不可能であった。そのため、まず実験室内でできることを優先し、細菌叢分析や皮膚タンパク質機能解析のための設備を整備し、予備実験を介して実験の実施準備を行った。今までは高額な装置を用いて解像度の低い菌叢解析しか行えなかったところ、実験室内で簡便に使用できる次世代シークエンサーを導入し、かつ解析対象となる遺伝子領域を変更することで、より精密な菌叢解析を行えるようにした。この技術を今後の臨床での調査に反映させる予定である。
来年度以降の臨床調査については、研究分担者の所属する機関の附属病院での採取を検討しており、倫理申請や先方とのすり合わせを実施した。来年度から、サンプルを採取し、分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた臨床調査がCOVID-19の影響で実施できなかった。これを克服するため、来年度は研究分担者の所属する機関の附属病院にてサンプル採取を行う予定である。サンプル採取ができれば、当初計画していた臨床調査を順調に遂行できる体制を整えてある。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の臨床調査を行うために、研究分担者の所属する機関の研究者と打ち合わせを行っている。現在、その施設でも調査できるよう医学倫理審査委員会へ変更申請を行っており、承認され次第先方の施設でも倫理承認を得る。倫理承認が得られ次第、先方の研究者に皮膚細菌回収法を教え、現地にてサンプルを採取してもらう。対象者は慢性期病棟でオムツを着用している患者とし、当初計画通り仙骨部と臀部2カ所の計3カ所からサンプルを採取する。採取されたサンプルはDNA保存液(新型コロナウイルスを含めた病原体の不活化作用を有する)に浸漬され、安全な輸送体制で代表者の所属する機関に輸送され、分析に供する。
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