研究課題/領域番号 |
21H03248
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原島 伸一 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (80444793)
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研究分担者 |
古田 真里枝 京都大学, 医学研究科, 教授 (20390312)
東 真弓 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20447981)
西村 亜希子 香川大学, 医学部, 准教授 (70738674)
元木 環 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80362424)
千草 義継 京都大学, 医学研究科, 助教 (80779158)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 妊娠糖尿病 |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度から繰り越した研究計画を行った。 まず、20~49歳の妊娠糖尿病妊婦および正常耐糖能妊婦を対象に、産後の血糖変動を、持続血糖モニター(フリースタイルリブレプロ)を用いて測定を継続した。新型コロナウイルス感染症が広がる中、共同研究機関の一部においては研究の継続が困難であったため、新たに研究協力施設を追加し、25医療機関で本研究を継続した。リブレプロで産後の血糖変動を測定できた症例数は、妊娠糖尿病妊婦50人、正常耐糖能妊婦30名であった。2023年度および2024年度にかけて、それぞれの血糖変動に関して解析を進めている。 また、医療従事者と一般女性を対象とした実態調査を行った。文献を基に質問紙を作成し、Web調査システムを利用して、医療従事者では、看護師500名、助産師100名、保健師100名、管理栄養士200名、薬剤師200名の合計1100名を対象に、糖代謝異常妊娠に関する知識、臨床経験、妊産褥婦を担当するにあたり経験した困難、糖代謝異常妊娠のケアを担当する医療従事者のための支援のニーズについて調査を完了、解析し、学会発表を行った。一般女性は3653人に、糖代謝異常合併妊娠に関する認知や知識、必要とされる自己管理支援ツールの調査を実施し、データを解析後学会発表まで完了した。 さらに、医療従事者および一般女性の支援ツールアプリを開発する予定であるが、2023年度は、アプリ開発の情報収集を行い、適切な開発の方法や枠組みについて一定の情報を得ることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の広がりにより、正常耐糖能妊婦と妊娠糖尿病妊婦の産後の血糖変化の測定が予定通りには進まなかったが、研究計画の一部を見直し、前倒しとして医療従事者や一般女性を対象としたWEB調査は完結することができた。そのため、本研究の最終目標を達成するための研究内容は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、繰り越した医療従事者および一般女性のための支援ツールアプリの開発に遷る予定である。現在、アプリ開発の条件や方法に関しては一定の情報を収集しており、新年度からすぐに研究が始められる体制が整っている。新年度の前半期の後半には、少なくとも一般女性を対象としたアプリ開発が終了する予定である。また、産後の血糖変動においてもある程度の解析が終了することから、妊娠糖尿病妊婦の中で、産後にどのような血糖変動をきたす症例で将来の2型糖尿病の発症が高まるのか明らかにし、一般女性の健康管理アプリに反映させる予定である。また、医療従事者においても、WEB調査により課題が明らかとなっていることから、それに対応した支援ツールを作成する。アプリのような電子媒体が求められる一方で、紙媒体での情報のニーズも高かったことから、両媒体を作成し、医療機関等に宣伝、配布を年度末までに行っていく予定である。 さらに、現時点では、新型コロナウイルス感染症の広がりおよび社会的偏見を理由に、妊娠糖尿病妊婦から生まれた児童の血糖測定の協力が得られていないことから、自治体や小児科医などにも協力を仰ぎ、小学生高学年から中学生にかけての随時血糖測定を行っていきたいと考えている。 最後には、アプリの有効性を確認するために、従来の方法と新たなアプリを使って妊娠糖尿病管理を行った方法で、妊婦や医療従事者のよりよい妊娠管理に有用であるか、パイロット研究を企画する予定である。
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