研究課題/領域番号 |
21H03281
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中西 三春 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40502315)
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研究分担者 |
宮本 有紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10292616)
山崎 修道 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 副参事研究員 (10447401)
中島 民恵子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (70503085)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 認知症 / 緩和ケア / アドバンス・ケア・プランニング |
研究実績の概要 |
本研究で最終的に開発をねらいとする、アドバンス・ケア・プランニングを推進するシステムのアウトカム指標を探索するため、認知症の人の主たる家族介護者412名を対象としたオンライン調査のデータ解析を実施した。調査回答時点でアドバンス・ケア・プランニングに本人が参加したことがある175名は、アドバンス・ケア・プランニングを実施していない237名よりもうつ症状が重かった。このことから、現状のアドバンス・ケア・プランニングは必ずしも認知症の診断直後ではなく、本人が心理的症状を呈するなどの段階に推移してから行われていることが推察された。なお新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、重篤な呼吸器不全等の状態に至ったときに入院するか否かを予め決めておくことが世界的に推奨されているが、オンライン調査で把握したアドバンス・ケア・プランニングの検討内容でもっとも多かったのは介護等施設に入所するか否かであった。これは認知症の人・家族と専門家との間に、アドバンス・ケア・プランニングのとらえ方や関心事項にギャップがある可能性を示唆している。 そこで認知症の人・家族介護者・医療従事者の間で、アドバンス・ケア・プランニングに対する意向を比較する6か国共同研究CONT-ENDに参加し、計4回の打ち合わせを行った。日本の医療従事者を対象とした調査について、ウェブ会議を活用したインタビューに着手した。 国内調査と並行して、認知症のアドバンス・ケア・プランニングに関する国際的なガイドラインの策定を目指す欧州緩和ケア学会のタスクフォースに参画し、計7回の打ち合わせを実施した。専門家パネルを対象としたデルファイ法による合意形成のための調査を開始した。本年度内に計3回の調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が異動したため、新たな研究環境の構築に時間を要した。具体的には、申請時に想定していた、東京都世田谷区をフィールドとする研究は予定通りに進めることが困難となった。また新型コロナウイルス感染症の第5波・第6波による医療介護提供への影響や、認知症の人・家族介護者のネットワーク活動も休止が相次ぎ、計画していたインタビューの実施が困難となった。認知機能の障害や年齢等の理由により、本研究課題の対象層において、ウェブ会議を活用したインタビューが可能となる該当者は見つからなかった。
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今後の研究の推進方策 |
6か国共同研究における医療従事者の調査を着実に進め、目標とする50名を達成する。認知症の人と家族介護者に対しては、高齢者および認知症は新型コロナウイルス感染症のハイリスクであり、一方でウェブ会議の活用には困難を伴う者が多いことから、実現可能な調査方法をひき続き検討する。 欧州緩和ケア学会のデルファイ法によるガイドライン作成は、2022年中に一定の終結をみると予想されることから、その国際ガイドラインをもとに地域住民・認知症患者を対象としたプログラムの初案を作成できる見込である。
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