研究課題/領域番号 |
21H03292
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山田 崇史 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (50583176)
|
研究分担者 |
渡邊 大輝 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (30823281)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 特発性炎症性ミオパチー / 神経-筋電気刺激 / 高強度間欠的運動 / PGC-1α |
研究実績の概要 |
本研究の全体構想は,特発性炎症性ミオパチーに対する安全で効果的な運動処方の基盤創出である.2021年度には,課題1「高強度間欠的運動の神経-筋電気刺激への応用と作用メカニズム解明」の実験1として,正常マウスに対する神経-筋電気刺激(ES)を用いた間欠的運動(IT)の効果を検証した.11~12週齢のマウスの下腿三頭筋に対し,高強度(100 Hz,IT100群)あるいは低強度(20 Hz,IT20群)のESによるITを,2日に1回の頻度で4週間負荷した.最終IT負荷の48時間後に,足底筋,腓腹筋を採取し,生化学的解析に供した.結果,両群とも,ミトコンドリア量の指標であるクエン酸合成酵素(CS)活性ならびにミトコンドリア生合成の制御因子であるPGC-1αの発現量が増大したが,その増加率に群間で差は認められなかった.一方,IT100においてのみ,呼吸鎖複合体I,III,IVの発現量およびスーパーコンプレックスの形成量増加とともに,ADP誘発性ミトコンドリア酸素消費速度の増大が観察された.したがって,ITにおいて,収縮強度の増大は,ミトコンドリアの量よりもむしろ機能(質)の向上に寄与する可能性が示唆された.また,当初の予定では,課題1:実験2として,ITによる持久力改善効果におけるPGC-1αの役割を,PGC-1α欠損動物を用い検討する予定であった.しかしながら,導入した動物の繁殖が思うように進まず,実験を遂行することができなかった.一方,課題2「特発性炎症性ミオパチー(IIM)に対する高強度間欠的運動の効果検証」に関しては,急性期のIIMモデルとして広く用いられている実験的自己免疫性ミオパチー(EAM)マウスを用い,ESによる高強度のITの効果検証を実施し,我々の期待通り,高強度のITがEAMマウスの疲労耐性を改善することが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度には,当初の予定通り,正常マウスにおいて,神経筋電気刺激を用いたITの効果と,その作用メカニズムを明らかにすることができた.また,その上で,特発性炎症性ミオパチーのモデルマウスにおいても,神経筋電気刺激を用いたITの効果を確認することができた.当初予定していたPGC-1α欠損マウスを用いた効果メカニズムの検討に関しては,動物の繁殖がうまく行かず実施できていないが,2021年度に実施する予定であった実験は着実に遂行し,予想通りの研究成果を得ることができたことから,現在までの達成度として,おおむね順調に進展していると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,2022年度には,課題2「特発性炎症性ミオパチー(IIM)に対する高強度間欠的運動の効果検証」に関して,実験動物モデルを用い引き続き検討を行う.また,2021年度に実施できなかったPGC-1α欠損マウスを用いた効果メカニズムの検討についてもチャレンジする.また,2021年度のIIMモデル動物におけるポジティブな結果をもとに,共同研究先であるカロリンスカ研究所およびその附属病院において,IIM患者に対するITの効果検証にも着手する予定である.
|