研究課題/領域番号 |
21H03297
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
小島 翔 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (10780330)
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研究分担者 |
横田 裕丈 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20827472)
長坂 和明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (70833812)
齊藤 慧 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (80707315)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 触圧覚刺激 / 体性感覚機能 / 皮質応答 / MEG / MRI / MRS |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,①脳情報(脳機能,構造,神経修飾物質)を読み取る脳磁図(MEG)や磁気共鳴画像(MRI)などのデコーディング技術を用いて,触圧覚刺激による体性感覚機能変化に伴う皮質応答の特徴を解明するとともに,触圧覚刺激に対する個人特性を明らかにすること,②その結果を基盤に,体性感覚障害を呈する脳卒中患者の個人特性に合わせた触圧覚刺激法を開発し,その効果を検証することである.これらの検証により,触圧覚刺激に対する皮質応答および個人差の解明と脳卒中リハビリテーションへの展開を目指すことを最終目標としている.2022年度は,20名の被験者を対象に実験を行った.306ch全頭型脳磁界計測装置を用いて,指先に対する単発触圧覚刺激時および2連発刺激時の皮質応答を記録し,その抑制度合いと体性感覚機能(二点識別覚閾値)との関連を検討した.その結果,空間的に位置の異なる2点を刺激した際の皮質抑制応答の度合いが各個人の二点識別覚閾値と相関することが明らかとなった.また,周波数の異なる静的な機械的触覚刺激介入が体性感覚機能に及ぼす影響を検討した結果,20分間の1Hzもしくは20Hzの触覚刺激介入前後で有意な体性感覚機能の変化が認められなかった.今後は,この結果を踏まえて,動的な触覚刺激介入効果を検討するとともに,介入効果の個人差の検証を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度では,体性感覚機能(二点識別覚機能)と刺激位置の異なる2連発の指先刺激時の皮質応答が関連することを明らかにした.一方で,周波数の異なる触覚刺激介入は介入前後で体性感覚機能に及ぼす影響を検証した結果,有意な介入効果が認められなかった.そのため,介入効果の個人差の検討に至っていない.これは,先行研究を参考に介入条件を設定したものの,条件比較のため一部設定を変更した点が影響していると考えられる.また,脳磁図を用いた検証は順調に進んでいるものの,他のデコーディング技術を用いた計測は計測手法の検討に時間を要している.これまでに予備実験を終了しているため,今後本実験に移行できる準備はできている.そのため,現状,やや遅れているものの,確実に研究は遂行している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,①複数種類の触覚刺激介入が体性感覚機能に及ぼす影響の検討,②①の結果とデコーディング技術によって計測された脳情報との関連の検討を実施する.①に関しては,2022年度の結果を踏まえて,刺激面内全体を刺激するパターンから,刺激面内を刺激が移動するパターンに条件を変更して検証する.②に関しては,MRIの計測準備が整ったため,MRIで計測された脳情報と介入効果との関連を検証する.これらの検証から,健常者における触覚刺激介入の効果を予測する個人特性の解明に取り組む.
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