研究課題/領域番号 |
21H03304
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (30721500)
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研究分担者 |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
野嶌 一平 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (20646286)
大鶴 直史 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50586542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経皮的迷走神経刺激(tVNS) / オフライン運動学習 / 脳内ネットワーク |
研究実績の概要 |
片麻痺患者の運動学習能力を外的に制御しリハビリの効果を最大限に引き出すことができれば、より高い生活の質の獲得につながる。そこで、本研究では運動学習能力を変調するために、運動学習中の被験者に対して主にノルアドレナリンやセロトニン等の脳内神経伝達物質の変調をターゲットとした経皮的迷走神経刺激(tVNS)を行った。 対象は18歳以上の健常右利き男女38名とし、迷走神経刺激を受けるStim群と、偽刺激を受けるSham群に無作為に振り分けた。母指と示指にて圧力センサーを摘まむ力制御学習課題を5分間実施したのち(Task1)、25分間の休息を挟んで、再度同課題を5分間行った(Task2)。25分間の休息時には、64チャネル脳波計を用いた安静時脳波の計測と、経皮的耳介迷走神経刺激装置によるtVNS又は偽刺激を実施した。tVNSの刺激パラメータは、先行研究に準じて設定した。刺激は左耳から行い、Stim群は耳甲介に、Sham群は迷走神経の走行がないとされている耳朶より刺激を実施した。パフォーマンス解析では、基準線と被験者が操作した点の誤差量(N)の平均値を算出した。さらに、Task1とTask2の誤差量の差をオフライン学習量と定義し、Stim群とSham群で比較した。また、安静時脳波の解析ではβ帯域を対象とした脳機能結合解析を行った。さらにTaskの結果から得られたオフライン運動学習量と脳機能結合解析の結果を用いた全脳相関解析を実施した。その結果、Stim群ではTask1開始時における学習量が少ない被験者ほどオフライン運動学習量が増加したが、Sham群では認められなかった。全脳相関解析の結果、休息時脳機能結合は、右縁上回と右楔前部および左下頭頂小葉の機能結合が強い被験者ほどオフライン運動学習量が増大した。本研究の結果、tVNSが運動学習能力を変調する可能性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験デザインの構築並びにデータ計測が予定通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている経皮的迷走神経刺激と並行して、運動学習中に脳活動を変調させる可能性がある聴覚刺激や電気刺激を付加することで、運動学習能力の向上および脳機能の変調を調査する。
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