研究課題/領域番号 |
21H03320
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近田 彰治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80598227)
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研究分担者 |
若原 卓 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20508288)
平島 雅也 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (20541949)
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80349563)
佐原 亘 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (80706391)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | MRI / バイオメカニクス / 筋骨格モデル |
研究実績の概要 |
本研究課題は、核磁気共鳴画像(MRI)をもとに全身の筋骨格形状データベースを構築することを目的としている。筋形状は、個人の特徴だけでなく、撮影姿勢の 違いによる変形が混入するという問題が存在する。本研究では「標準姿勢」という概念を導入し、全対象者のデータを「標準姿勢」に戻すシミュレーション手法 を開発し、姿勢の違いが補正されたデータベースを構築する。また、人体形状の表現には、どの個体も同数の同じ点群構成で表現する「相同モデリ ング」を採用 し、統計形状モデルの獲得を目指す。統計形状モデルを用いて部分的な形状データから統計的推論によって全体形状を復元する技術を開発し、過去に世界中で計測されてきた膨大な断片データを活用する枠組みを構築する。 本年度は、学習データの整備と筋骨格系領域の自動抽出を行う人工知能の高精度化を注力して進めることができた。まず、学習データについては、筋骨格系の解剖とMRIからの領域抽出に熟練した経験を有する研究代表者らによって、筋の起始から停止にわたって高い領域分割精度を有するテンプレートモデル(Gold standard)を2体追加した(計3体)。また、解剖学的知識を有する研究補助らによって、Gold standardに準ずる精度を有するモデル(Silver standard)を上肢・下肢でそれぞれ20体整備した。また、領域抽出を簡易化するツールの開発によって、解剖学的知識を有さない研究補助でも領域分割作業が可能になったことにより、概形抽出を目的としたモデル(Bronze standard)を90体整備した。これらの学習データを用いて、筋骨格系領域の自動抽出を行う人工知能の学習を行い、2体のGold standardに対する精度を検証したところ、20体のSilver standardと比較して90体の概形抽出モデルでも十分な精度を有することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで筋骨格系の領域抽出には、解剖学的知識を有する作業者によって多大な時間を要する作業が必要であった。しかし、新たな領域分割手法の開発によって時間的効率の高い作業が可能となった。また、その手法によって得られた学習データは、人工知能による自動領域抽出で十分な精度を有することが確認できたため、今後の研究推進にとって大きな成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで若年健常成人男性を対象としたデータベースの構築を進めてきたため、比較的体脂肪が少なくやせ型の体型を有する対象が多かった。体脂肪の多い対象者では筋骨格系の自動領域抽出でやや精度が低下する可能性があった。そこで、データベースに含める対象者のバリエーションの拡充を目指して中高齢者等のMRI撮影を実施する。また、筋の起始・停止といった関節周りの箇所は全身撮影を目的とした画像では解像度が十分でない。関節周りを対象として高解像度で撮影もこれまで実施してきたため、高解像度画像を用いた学習データの整備を進める。また、筋骨格系の形状データの筋骨格モデリングのための相同モデル化の手法の開発を進めるとともに、個人の形状を忠実に再現した筋骨格シミュレーションの安定化を引き続き進める。また、従来から蓄積されてきた公開データとの統合についても、引き続き調査を進めていく。
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