研究課題/領域番号 |
21H03336
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 名誉教授 (70144566)
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研究分担者 |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
奥島 大 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (70735307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / イオントフォレーシス / マイクロニードルパッチ / 汗 / 体温調節 / 熱中症 / エクリン汗腺 |
研究実績の概要 |
R3年度は先行研究で報告されているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)による発汗増幅作用を経皮薬剤投与法で評価するための方法論の確立を目指して研究を進めた。先行研究を参考に①0.01~0.02%濃度のCGRP,②0.0001~1%濃度のピロカルピン,③1%濃度のサルブタモールのイオントフォレーシスを方法を変えながら(それぞれ単独投与,混合投与,時間をおいて順次投与)前腕部に投与した時の発汗反応を記録した。研究対象者は健康な成人男女8名程度であった。いずれの条件においてもCGRPを単独で投与してもその部位で発汗反応は認められなかった。CGRPはムスカリン受容体活動時の発汗反応を増大させると考えられることから,ピロカルピン投与時の増幅作用が確認できるかどうかを検討したが,対象条件(CGRPなし)と比較して発汗反応が増大するわけではなかった。むしろピロカルピン濃度が低い場合には発汗量が低下してしまった。 その他にもより生理的な条件下でCGRPによる発汗増幅作用が認められるかどうかを検討するため,暑熱環境下(35℃)でCGRPを投与したり,CGRP投与後に静的膝伸展運動を行って発汗増幅作用が認められるかどうかも数名で検討したものの,そのような応答は認められなかった。 CGRPは申請者がこれまで使っていた薬剤よりも分子が大きいため(MW:4000弱),経皮投与できていない可能性も考えられたことから,CGRPのイオントフォレーシスを行う前にマイクロニードルパッチを処置することで皮膚透過性を上げた検討も行ったが,結果は変わらなかった。さらにCGRPは血管を強力に拡張させる作用があることから,投与部位の皮膚血流量を測定してみると,血管拡張が認められた。そのため,定量的ではないものの,CGRPはいくらかは皮膚に投与されていると推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始前に考えられていた方法論については大よそその可能性を検討できたものの,いずれの場合でもCGRPによる発汗増幅作用は認められなかった。そのため,結果としてやや遅れいていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R3年度の取り組みから,CGRPによる発汗増幅作用を適切に評価する方法を確立するためには2つの課題がでた。1つ目は,CGRPによる発汗増幅は汗腺に直接作用するものではなく,軸索反射による増幅作用である可能性,2つ目は経皮的な薬剤投与法ではCGRPの投与量が汗腺を刺激するには十分ではなかった可能性である。1つ目については軸索反射性の発汗を評価する方法(ピロカルピンではなくアセチルコリンを使う,また軸索反射性発汗試験:QSARTを行う)を用いた検討を行う。2つ目についてはイオントフォレーシスによるCGRPの投与量を評価することが考えられる。R4年度はこれらの方策を基に研究を進める予定である。
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